モモンガ

齧歯類(ネズミ・リス)

モモンガは、皮膜を広げて木から木へ滑空する、手のひらサイズのリスの仲間です。滑空する体のつくりや、よく似たムササビとの見分け方に特徴があります。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:齧歯目 Rodentia
  • 科:リス科 Sciuridae
  • 属:モモンガ属 Pteromys など
  • 種:ニホンモモンガ Pteromys momonga ほか

和名・英名

  • 和名:モモンガ(鼯鼠)
  • 英名:Flying squirrel(ニホンモモンガは Japanese dwarf flying squirrel)

「飛ぶリス」という位置づけ

モモンガは、リス科の中で皮膜を使って滑空するグループの総称です。日本には固有種のニホンモモンガと、北海道に住むエゾモモンガの2種が住みます。英名はそのまま「空飛ぶリス」を意味しますが、実際には羽ばたいて飛ぶわけではなく、木から木へ滑り降りるように移動します。大きな目と長い尾をもつ、夜の森の小さな住人です。漢字では「鼯鼠」と書き、古くは「ノブスマ」などの名でも呼ばれてきました。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約14〜20cm/尾 約10〜14cm/体重 約150〜220g(ニホンモモンガ)
分布ニホンモモンガ=本州・四国・九州(日本固有)/エゾモモンガ=北海道
生息環境山地の森林。木の洞(うろ)を巣にする
食べもの木の芽・葉・種子・果実・樹皮など(植物食)
活動時間夜行性
分類齧歯目リス科(リスの仲間)

皮膜で滑空する夜の森の住人

飛ぶのではなく滑空する

前足と後足をつなぐ皮膜

モモンガの滑空を支えるのは、前足と後足のあいだに張った「皮膜(飛膜)」と呼ばれる薄い膜です。ふだんは体の側面にたたまれていますが、木から飛び出すときに四肢を大きく広げると、皮膜が大きく張って四角い凧のような形になります。手首の付け根からは細い軟骨の突起が伸び、皮膜を外へ大きく張り出させる支えになっています。この面で空気を受け、体を落とさずに前へ滑らせます。鳥やコウモリのように羽ばたく力はなく、あくまで高い場所から低い場所へ滑り降りる移動です。

皮膜を広げたニホンモモンガの図
四肢のあいだに皮膜を広げたニホンモモンガ(古い博物図)。この膜で空気を受けて滑空します。Fauna Japonica, Public domain, via Wikimedia Commons

数十mを滑り、尾で舵をとる

一回の滑空でモモンガが進む距離は、数十m程度です。高い木の上から滑り出し、目当ての幹に近づくと体を起こして四本の足で着地します。長く毛の豊かな尾は、滑空中の舵となって方向を微妙に調整する、大切な器官です。着地の直前には皮膜を使って空気の抵抗を増やし、速度を落として柔らかく止まります。木から木へ滑空する移動は、地面に降りるより速く、天敵に襲われる危険も減らせます。これは樹上の暮らしに適したやり方といえます。

夜行性の暮らし

大きな目で夜を見る

モモンガは夜行性で、日中は木の洞(うろ)の中で眠り、日が暮れてから活動を始めます。顔の大きな割合を占める黒く大きな目は、わずかな月明かりや星明かりの下でも周りをとらえるのに役立つとされます。この大きな目は、夜の森で人がモモンガを見分けるときの手がかりにもなります。昼行性のふつうのリスとは、活動する時間帯が正反対です。

夜に枝の上にいるニホンモモンガ
夜の枝の上にいるニホンモモンガ。顔に占める黒く大きな目が、暗い森での活動を支えます。OpenCage, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

木の洞をすみかにする

モモンガは、木の幹にできた洞やキツツキの古巣を巣として利用します。巣の中には木の皮や葉、コケなどを敷き、寒い時期には複数の個体が身を寄せ合って温め合うこともあります。餌は木の芽や葉、種子、果実などです。季節ごとに、森の実りを食べ分けます。地上に降りることは少なく、一生の大半を木の上で過ごす樹上性の動物です。夜の森ではフクロウやテン、ヘビなどに狙われ、小さな体を木の洞に隠すことで身を守ります。

モモンガとムササビの違い

大きさと滑空で見分ける

手のひらのモモンガ、ネコほどのムササビ

モモンガとムササビは、どちらも皮膜で滑空する同じリス科の動物で、姿もよく似ています。見分けるいちばんの手がかりは体の大きさです。ニホンモモンガは体長14〜20cmで、手のひらにのるほどの小ささです。いっぽうムササビは体長50cmを超え、尾を入れると80cm以上になる、ネコほどの大きさの動物です。同じ「滑空するリス」でも、大きさはまるで違います。

ムササビの顔
ムササビ。同じ滑空するリスだが、体長50cmを超えモモンガよりずっと大きい。OpenCage, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

滑空距離と生息地の違い

体の大きさは、滑空できる距離の違いにもつながっています。小さなモモンガの滑空は一回で数十mほどですが、体の大きなムササビは100mを超えて滑空することもあります。住む場所も少し異なり、ムササビは人里近くの社寺林でも見られるのに対し、モモンガはより標高の高い山地の森を好みます。夜に滑空する影が大きければムササビ、小さければモモンガという体格の差が、両者を分ける大きな特徴です。

日本の2種 ― ニホンモモンガとエゾモモンガ

日本に住むモモンガは、1種だけではありません。本州・四国・九州には日本固有種のニホンモモンガ(Pteromys momonga)が、北海道にはエゾモモンガが住んでいます。エゾモモンガは、ユーラシアに広く分布するタイリクモモンガ(Pteromys volans)の亜種で、ニホンモモンガとは別の種にあたります。冬のエゾモモンガは、寒さに備えて毛が長くふくらみ、丸いシルエットになります。このように、日本のモモンガは住む地域によって種類が分かれています。

ニホンモモンガとタイリクモモンガの分布図
ニホンモモンガ(赤)と、エゾモモンガを含むタイリクモモンガ(橙)の分布。NordNordWest, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

「フクロモモンガ」はモモンガではない

袋をもつ有袋類の仲間

ペットとして人気の「フクロモモンガ」は、名前に「モモンガ」とつきますが、リス科のモモンガとはまったく別の動物です。フクロモモンガはオーストラリアやニューギニアに住む有袋類で、カンガルーやコアラに近い仲間にあたります。メスのおなかには子を育てる袋があり、これが「フクロ(袋)」の名の由来です。英語では、甘い樹液を好むことから「シュガーグライダー(sugar glider)」と呼ばれています。飼い主になつきやすく、体も小さいことから、日本でもペットとして広く飼われています。

収斂進化でよく似た姿に

リス科のモモンガと有袋類のフクロモモンガは、系統としては遠く離れています。それでも、木の上で暮らし皮膜で滑空するという同じ暮らし方に合わせて、よく似た姿へと進化しました。異なる系統の動物が似た環境で似た形になることを「収斂進化」といい、モモンガとフクロモモンガはその代表的な例の一つです。ペットショップで見かける「モモンガ」の多くは、この有袋類のフクロモモンガのほうです。

野生の姿と動物園での展示

野生で見つけるのは難しい

野生のニホンモモンガは夜行性で体も小さく、森の中で見つけるのは簡単ではありません。多くの場合、木の洞の出入り口や、かじられた木の実の跡といった痕跡から生息が確かめられます。昼夜を逆転させた動物園の「夜行性館」では、活発に動くモモンガの姿が展示されています。北海道のエゾモモンガは、冬に丸くふくらんだ姿が観察されることで知られています。

ペットの「モモンガ」との違い

なお、野生のニホンモモンガは鳥獣保護管理法で守られており、許可なく捕まえたり飼ったりすることはできません。ペットとして「モモンガ」の名で流通しているのは、ほとんどが有袋類のフクロモモンガです。同じ「モモンガ」という言葉でも、野生の日本のモモンガとペットのフクロモモンガは、扱いも法律もまったく異なります。

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参考

画像出典

pelican from Tokyo, Japan, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons | https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ueno_zoo,_Tokyo,_Japan_(46815313975).jpg

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