アルパカ

鯨偶蹄目(クジラ・ウシなど)

アルパカは、柔らかな毛でおなじみの、南米アンデス生まれのラクダ科の動物です。上質な繊維になる毛や、よく似たラマとの見分け方に特徴があります。唾を吐くという評判もありますが、ふだんは群れで静かに暮らすおとなしい動物です。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
  • 科:ラクダ科 Camelidae
  • 種:アルパカ Vicugna pacos

和名・英名

  • 和名:アルパカ
  • 英名:Alpaca

南米ラクダの4種

アルパカは、ラクダ科の中でも、南米の高地に住む「南米ラクダ」と呼ばれる仲間です。南米ラクダには、野生のグアナコとビクーニャ、そして人が家畜化したラマとアルパカの4種がいます。アルパカは、細くしなやかな毛をもつ野生のビクーニャを家畜にしたものと考えられています。ラマは、大柄なグアナコを家畜にしたものとされます。背中にこぶがなく、細長い首をもつのは、ラクダ科でも南米のグループに共通する特徴です。

祖先とされるビクーニャは、その毛の細かさから乱獲され、一時は数を大きく減らしました。4種は互いに交配でき、アルパカとラマのあいだに子が生まれることもあります。純粋なアルパカを保つため、南米では品種の管理も続けられています。

野生のビクーニャ
アルパカの祖先とされる野生のビクーニャ。細い毛をもつ。Diego Delso, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
グアナコ
グアナコは、南アメリカの草原や高い山にすむ、ラクダの仲間です。背中にこぶはありませんが、ラクダと同じ科の動物で、家畜のラマ(リャマ)のもとになった野生の動物でもあります。やわらかい毛と長い首を持ち、標高4000mもの高い山でも元気に暮らせる...

大きさ・分布などの基本データ

大きさ肩高 約80〜100cm/体重 約50〜80kg
分布南米アンデス(ペルー・ボリビア・チリなど)の家畜。標高3,500〜5,000mの高地
生息環境アンデスの高原の草地
食べもの草など(植物食・反芻する)
寿命15〜20年ほど
保全状況家畜として広く飼育される

高級繊維とアンデスの体

軽くて暖かいアルパカの毛

保温性が高く色も豊富

アルパカがこれほど大切にされてきたのは、その毛(繊維)の質のよさゆえです。アルパカの毛は、羊毛より軽くしなやかで、中が空洞になった構造のおかげで保温性にすぐれます。羊毛のような脂(ラノリン)を含まないため、肌を刺激しにくいのも特徴です。とくに祖先のビクーニャの毛は、世界でもっとも細い獣毛の一つとされます。その血を引くアルパカの毛も、羊毛よりはるかに細くなめらかです。白や黒、茶やグレーなど、染めなくても52色以上といわれる豊富な天然色をもちます。この毛は上質な糸や衣類の材料として、世界中で使われています。

ワカイヤとスリの2品種

アルパカには、毛の質が違う2つの品種があります。数の多いワカイヤ種は、細かく波打つ毛が全身を柔らかく丸く覆い、ぬいぐるみのような見た目になります。もう一方のスリ種は、光沢のある長い毛が束になって垂れ下がる、珍しい姿です。毛は伸び続けるため、飼育下では年に1回ほど毛刈りを行います。ふだんは毛で大きくふくらんで見えるアルパカも、毛を刈られると細い体があらわれ、別の動物のように見違えます。刈り取られた毛は、そのまま貴重な繊維として利用されます。

長い巻き毛のスリ種のアルパカ
光沢のある長い毛が垂れ下がるスリ種のアルパカ。Mizael Contreras, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

高地の暮らしに適応した体

草地を傷めない足

アルパカの足の裏は、ウシやウマのような硬いひづめではなく、柔らかい肉球のようになっています。この足は地面をあまり傷つけないため、草地を荒らさずに歩けます。アンデスの限られた草地で家畜として飼うのに向いた、環境にやさしい体のつくりです。爪は2本に分かれ、岩場の多い高地でも安定して歩けます。

薄い空気の中で生きる

アルパカが暮らすアンデスの高地は、標高3,500mを超え、空気が薄く酸素の少ない厳しい環境です。アルパカの血液には、少ない酸素を効率よく運ぶ工夫があり、薄い空気の中でも支障なく動けます。胃は3つの部屋に分かれ、栄養の乏しい高地の草からも、反芻を繰り返して養分を取り出します。寒さと酸素の薄さが厳しい高原を、家畜として生き抜いてきた動物です。

アルパカとラマの違い

大きさと役割で見分ける

小柄で毛を取るアルパカ

アルパカとラマ(リャマ)は、どちらも南米ラクダの家畜で、姿がよく似ています。見分ける大きな手がかりは、体の大きさと飼われる目的です。アルパカは肩高80〜100cmと小柄で、上質な毛を取るために飼われてきました。全身が細かい毛で覆われ、丸みのある体つきに見えます。

大きく荷を運ぶラマ

一方でラマは、肩高が1.2mほどにもなる大柄な家畜で、古くから荷物を運ぶ役目をになってきました。アルパカより体が大きく、毛も短めで、細い体つきをしています。荷役に加え、群れを守る番の動物として飼われることもあります。同じ南米ラクダでも、小柄な毛用のアルパカと、大柄な荷役用のラマという違いがあります。

ラマの顔
ラマ。耳が長く、内側に曲がったバナナのような形をしている。Johann Jaritz, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

耳と顔つきの違い

大きさのほかに、耳の形も見分けの目印になります。アルパカの耳は短くまっすぐですが、ラマの耳は長く、内側に曲がったバナナのような形をしています。顔もアルパカのほうが毛に覆われて丸みがあり、ラマは顔まわりの毛が短く、輪郭がよく見えます。耳と顔つきにも、明らかな違いがあります。

アルパカの顔
アルパカの顔。耳は短くまっすぐで、ラマとの見分けの目印になる。H. Zell, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

「唾を吐く」習性の実際

唾を吐くのは仲間争いのとき

アルパカには「唾を吐く」というイメージがあります。実際にアルパカは、仲間との順位を争うときや強く嫌がったときに、口から中身を吐きかけることがあります。ただし飛んでくるのは、いわゆる唾ではなく、胃の中の酸っぱい内容物です。おもに仲間どうしのけんかや、餌の取り合いのときに見られる行動です。人に向かって吐くのは、よほど強く追いつめられたときに限られます。オスはメスより気が強く、唾を吐く場面も多くなります。群れには順位があり、上位のアルパカが唾を使って下位を追いはらうこともあります。

ふだんは群れで暮らすおとなしい動物

ふだんのアルパカは、群れをつくって静かに暮らすおとなしい動物です。仲間とは、鼻を鳴らすようなハミングでやり取りをし、めったに大きな声を出しません。メスはおよそ11か月半の長い妊娠を経て、ふつう1頭の子を産みます。生まれた子は「クリア」と呼ばれ、まもなく立ち上がって母親について歩きます。人にもよく慣れ、性格の穏やかさから、ふれあい牧場やセラピーの現場でも親しまれています。唾を吐くという評判が広まっていますが、人に向かって吐くことはまれとされます。

人とのかかわり

インカ以来の家畜

アルパカは、数千年前の南米で家畜化され、アンデスの人々の暮らしを支えてきました。インカ帝国の時代には、アルパカの上質な毛は身分の高い人の衣服に使われ、大切にされてきたと伝えられています。今も南米では、毛を取るための家畜として広く飼われ、その繊維は世界へ輸出されています。標高の高いやせた土地でも、草さえあれば飼えるアルパカは、アンデスの厳しい環境で暮らす人々の大切な財産でした。

日本でも高い人気

日本でも、アルパカはその見た目とおとなしい性質で高い人気を集めています。各地の牧場や動物園で飼われ、間近でふれあえる場所も少なくありません。北海道や栃木の那須など各地にアルパカ牧場があり、毛刈りや出産のようすがニュースになることもあります。豊かな毛に覆われた立ち姿や、独特の表情がよく知られています。キャラクターやぬいぐるみのモチーフにもなり、広く親しまれています。南米生まれのラクダの仲間は、遠く日本でも、なじみ深い存在になりました。

参考

画像出典

Tony Hisgett, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons | https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alpaca_(31562329701).jpg

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