リクイグアナは、ガラパゴス諸島だけに住む、黄色っぽい体をした大型のトカゲです。乾いた土地で暮らし、とげのあるサボテンを、とげごと食べることで知られています。地面に巣穴を掘り、そこで夜を過ごします。60年以上も生きる、長生きのイグアナです。
分類と学名
リクイグアナは、爬虫綱の有鱗目(ゆうりんもく)のなかの、イグアナ科に含まれるトカゲです。学名は Conolophus subcristatus といいます。正式には「ガラパゴスリクイグアナ」と呼ばれ、同じガラパゴスの海に住むウミイグアナとは、近い仲間にあたります。
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:爬虫綱 Reptilia
- 目:有鱗目 Squamata
- 科:イグアナ科 Iguanidae
- 種:ガラパゴスリクイグアナ Conolophus subcristatus
和名・英名
- 和名:リクイグアナ(ガラパゴスリクイグアナ)
- 英名:Galápagos land iguana
名前の由来
「リク(陸)」は、海で暮らすウミイグアナに対して、陸の上で暮らすことにちなみます。海と陸、同じガラパゴスに住む二種を分けて呼ぶための名前です。英名の Galápagos land iguana も、「ガラパゴスの陸のイグアナ」という意味になります。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長0.9〜1.5m、体重は13kgに達することも |
|---|---|
| 分布 | ガラパゴス諸島の固有種(乾いた低地) |
| 生息環境 | 火山岩やサボテンの生える、乾いた土地 |
| 食べ物 | ウチワサボテンなどの植物(草食) |
| 寿命 | 60〜69年ほど(長生き) |
| 保全状況 | 危急(VU)=数が減りつつある |
黄色い大きな陸のイグアナ
リクイグアナは、あざやかな黄色みをおびた体が目印です。ガラパゴス諸島の、乾いた土地でのみ見られます。
黄色と褐色の体
体の下のほうは黄色みをおび、背中は褐色みをおびた色あいをしています。全長は0.9〜1.5mほどで、大きなものは体重が13kgに達します。がっしりとした体つきで、背中には短いとげ状のうろこが並びます。イグアナ科のなかでも、大きく重い種のひとつです。
日なたで体を温める
リクイグアナは変温動物なので、まわりの温度で体温が決まります。朝は、日なたに出て体を温めてから活動を始めます。日ざしの強い昼には、岩かげなどで暑さをさけることもあります。乾いた土地の気温に合わせて、体温を保っています。
ガラパゴスだけに住む
リクイグアナは、南米の沖にうかぶガラパゴス諸島だけに住む固有種です。いくつかの島の、乾いた低地に分かれて暮らしています。同じ島には、海に住むウミイグアナが暮らすこともあります。海と陸、それぞれに合わせた暮らしをする二種が、同じ諸島で見られます。
サボテンを食べる暮らし
リクイグアナの食べ物で、いちばんの特徴はサボテンです。乾いた土地では貴重な水分も、このサボテンから得ています。

とげごとサボテンを食べる
好物はウチワサボテン
リクイグアナがもっとも好むのは、ウチワサボテンです。食べ物のおよそ8割を、このサボテンがしめるといわれます。実や花はもちろん、平たい葉のような部分から鋭いとげまで、まるごと食べてしまいます。鋭いとげを気にせず食べられる点が、リクイグアナの変わったところです。
サボテンから水をとる
ガラパゴスの乾いた土地では、飲み水になる真水がかぎられています。そこでリクイグアナは、みずみずしいサボテンから水分をとります。食べ物であると同時に、水を得る手段にもなっているのです。雨の少ない島で生きぬくための、大切な習性です。
巣穴を掘って暮らす
夜を過ごす巣穴
リクイグアナは、地面に自分で巣穴を掘ります。夜になると、この巣穴に入って過ごします。日中にため込んだ体の熱を、穴の中でにがさないようにするためだといわれます。穴の中は、外よりも温度が変わりにくい場所です。
巣穴に卵を産む
メスは、繁殖のときにも巣穴を利用します。深さ50cmほどの巣穴を掘り、その中に卵を産みます。土の中は温度が安定し、卵を守るのにも向いています。掘る力の強い前あしが、こうした暮らしを支えています。
長生きと一生
リクイグアナは、爬虫類のなかでも、とくに長生きする種です。ゆっくりと育ち、長い時間をかけて大人になります。
60年以上も生きる
リクイグアナの寿命は、60〜69年ほどとされます。人のように、長い一生を送る生きものです。天敵の少ないガラパゴスの島で、ゆっくりと年を重ねます。この長い寿命も、島の暮らしに合ったものだと考えられています。
ゆっくり育つ
リクイグアナが大人になるまでには、8〜15年ほどかかります。メスは、一度に2〜20個の卵を巣穴に産みます。卵は、90〜125日ほどたってからかえります。子どもは、卵からかえるとすぐに、自分で生きていきます。
ガラパゴスならではの話
島の自然のなかで、リクイグアナはほかの生きものや歴史とも、深くつながっています。
小鳥が体の虫を食べる
リクイグアナの体には、ダニなどの小さな虫がつくことがあります。ガラパゴスの島では、小鳥がこの虫を食べに、イグアナの体にやってきます。イグアナは体につく虫が減り、鳥は餌を得られます。双方にとって利益のある関わりとされます。
ウミイグアナとの交雑
サウスプラザ島という小さな島では、リクイグアナとウミイグアナが、まれに交雑することが知られています。生まれた子は育つものの、その多くは子孫を残せないとされます。海のイグアナと陸のイグアナが交わる、めずらしい例です。
ダーウィンが見たイグアナ
ガラパゴス諸島は、生物学者ダーウィンがおとずれたことで知られています。ダーウィンは、ある島でリクイグアナを観察しました。あたり一面が巣穴だらけで、テントを張る場所を探すのに苦労したと書き残しています。それほど、当時は数多くのリクイグアナが住んでいました。
守られる島のイグアナ
リクイグアナは、ガラパゴス諸島だけに住む生きものです。しかし、近年はその数が減り、危急(VU)に分類されています。
外来動物からの脅威
卵や子をおそう外来動物
数が減った大きな原因は、人が島に持ちこんだ動物です。野生化したブタやネコ・ネズミ・イヌなどが、リクイグアナの卵や子を食べてしまいます。もともと島にいなかった動物は、島の生きものにとって大きな脅威となります。長い時間をかけて島で暮らしてきたイグアナには、こうした敵への備えがありません。
数を守る取り組み
ガラパゴスでは、こうした外来動物を減らす取り組みが続けられています。卵や子を守り、島でふたたび数を増やす試みも行われてきました。こうした取り組みによって、島での数の回復がめざされています。
イグアナのなかま
リクイグアナは、イグアナ科の一種です。同じ仲間には、ペットで知られるグリーンイグアナや、海に潜るウミイグアナがいます。イグアナの仲間全体については、次のページでまとめて紹介しています。

参考
- ガラパゴスリクイグアナ Conolophus subcristatus(Wikipedia日本語版)分類・分布
- Galápagos land iguana(Wikipedia英語版)サボテン食・巣穴・寿命・交雑・ダーウィン・保全
- ガラパゴスリクイグアナ(各図鑑)体・生態・ガラパゴス
画像の出典
- アイキャッチ(黄色い全身):E bailey, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- サボテンを食べる姿:E bailey, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons


