カワセミ

枝にとまるカワセミ 水鳥類

カワセミは、青くかがやく背中とオレンジ色のお腹をもつ、水辺の小鳥です。その美しさから「清流の宝石」とも呼ばれます。川辺の枝から水中へ飛び込み、くちばしで小魚をとらえます。土の崖に横穴を掘って巣を作る、変わった習性でも知られています。

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分類と学名

カワセミは、鳥綱のブッポウソウ目のなかの、カワセミ科カワセミ属に含まれる小鳥です。学名は Alcedo atthis といいます。ユーラシアから東南アジアまで広く分布し、日本では全国の水辺で見られます。同じカワセミの仲間には、より大きなヤマセミや、赤いアカショウビンなどがいます。

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:ブッポウソウ目 Coraciiformes
  • 科:カワセミ科 Alcedinidae
  • 種:カワセミ Alcedo atthis

和名・英名

  • 和名:カワセミ(翡翠)
  • 英名:Common kingfisher

名前の由来

カワセミは、漢字で「翡翠」と書きます。宝石の「翡翠(ヒスイ)」は、このカワセミの美しい羽の色にちなんで名づけられたといわれています。「セミ」は、古い呼び名「そに」がなまったものとされます。青くかがやく姿から、「飛ぶ宝石」と呼ばれることもあります。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長約17cm(スズメより少し大きい)、体重20〜40g
分布日本全国、ユーラシアから東南アジアまで
生息環境川・池・湖などの水辺(きれいな水を好む)
食べ物小魚・エビ・水生昆虫など
寿命野生でおよそ数年ほど
保全状況IUCN: LC(軽度懸念)

青くかがやく小鳥

カワセミの体でまず目につくのは、その色です。背は青、腹はオレンジと、はっきりした二色に分かれています。

青とオレンジの体

カワセミの背中は、頭から尾まであざやかな青色をしています。いっぽうお腹は、あたたかみのあるオレンジ色です。全長は17cmほどで、スズメより少し大きい程度の小さな鳥です。長く大きなくちばしと、短い尾が、ずんぐりとした体つきをつくっています。

カワセミの青い羽のクローズアップ
青くかがやく羽。この青は色素ではなく、羽の構造が光を反射して生まれる

青くかがやくしくみ

カワセミの青は、ほかの多くの鳥の色とは、生まれ方が違います。青くかがやいて見えるのには、羽のつくりに理由があります。

色素ではない青

カワセミの青は、青い色素によるものではありません。羽の表面にある細かな構造が、光を反射して青く見せています。このような色は「構造色(こうぞうしょく)」と呼ばれます。シャボン玉や、タマムシの体が光るのと同じしくみです。

見る角度で変わる色

構造色は、光の当たり方や見る角度によって、色あいが変わります。カワセミの背中も、青緑に見えたり、深い青に見えたりします。日ざしの下では、いっそうあざやかにかがやきます。同じ羽でも、光しだいで表情を変えるのが構造色の特徴です。

オスとメスの見分け方

カワセミのオスとメスは、くちばしの色で見分けられます。オスのくちばしは、上も下も黒色です。いっぽうメスは、下のくちばしが赤みをおびています。まるで口紅をつけたように見えるため、この赤がメスの目印になります。

下くちばしが赤いカワセミのメス
下のくちばしが赤いのはメス。オスは上下とも黒い

水に飛び込む狩り

カワセミは、水中の魚をとらえて食べます。その狩りの方法には、小さな体を生かした工夫があります。

枝から水中へ

カワセミは、水辺の枝や杭にとまり、じっと水面を見つめています。魚を見つけると、勢いよく水中へ飛び込みます。水の中では翼をたたみ、くちばしをまっすぐ前に向けて魚に近づきます。長いくちばしで魚をくわえ、すぐに水から飛び立ちます。この一連の動きは、ほんの一瞬のうちの出来事です。

飛ぶカワセミ
水面すれすれを速く飛ぶ。とまる場所がないときは空中で羽ばたいて狙う

ホバリングで狙う

とまる枝が近くにないときは、空中で羽ばたいて止まる「ホバリング」をします。同じ場所にとどまりながら、下の水面をうかがいます。狙いが定まると、そこから水中へ飛び込みます。小さな体ながら、空中でその場にとどまることができます。

魚を枝に叩きつける

とらえた魚は、そのまま丸飲みにするのがふつうです。生きた魚を暴れさせないよう、枝に何度も叩きつけて弱らせてから飲みこみます。飲むときは、魚を頭のほうから向きをそろえます。骨やうろこが、のどに引っかからないための工夫だと考えられています。

魚をくわえたカワセミ
とらえた小魚。枝に叩きつけて弱らせ、頭からまるごと飲みこむ

目を守る瞬膜

水に飛び込むとき、カワセミは目を守る特別なまぶたを使います。「瞬膜(しゅんまく)」と呼ばれる、透明なまぶたです。水中では、この瞬膜が目をおおって、水やごみから目を守ります。透明なので、目を守りながらも、ある程度は前を見ることができます。

鳴き声と暮らし

カワセミは、水辺を行き来しながら暮らしています。その高い鳴き声は、姿が見えなくても、近くにいることを知らせます。

チーッと鳴いて飛ぶ

カワセミは、「チーッ」という高く鋭い声で鳴きます。水面すれすれをまっすぐ飛びながら、この声をあげることが多い鳥です。姿は見えなくても、この声で近くにいると分かります。縄張りをもつ鳥で、川ぞいの一定の範囲を行き来しています。

何を食べるか

カワセミの主な食べ物は、水中の小魚です。加えて、エビやザリガニ、水生昆虫なども食べます。体の小さな鳥ですが、自分の頭ほどの大きさの魚をとらえることもあります。とらえた魚は骨ごと飲みこみ、消化できない骨やうろこは、小さくまとめて口から吐き出します。育ち盛りのヒナがいる時期には、親鳥は一日に何度も川を往復し、たくさんの魚を運びます。

土手に掘る巣穴

カワセミの巣は、木の上ではありません。川ぞいの土の崖に、自分で穴を掘って巣を作ります。

巣づくりと子育て

カワセミは、水辺の土手や崖を選んで巣を作ります。オスとメスが協力して、巣づくりと子育てを行います。

くちばしで掘る横穴

カワセミは、土の崖に横向きの穴を掘ります。使うのは、くちばしと足。長さ50〜90cmもの横穴を掘りぬき、その奥のふくらんだ部屋に卵を産みます。魚をとる長いくちばしは、巣穴を掘る道具にもなっています。

巣穴で育つヒナ

親鳥は、掘った巣穴の中でヒナを育てます。オスとメスがかわるがわる、巣穴と川を往復して魚を運びます。ヒナは暗い穴の中で育ち、やがて巣立ちます。巣穴の奥は敵に見つかりにくく、ヒナを守るのに向いています。

きれいな水と天敵

カワセミは、水辺の環境と深くつながって暮らしています。住む場所のようすは、その川の状態を映し出します。

きれいな水の目印

カワセミは、魚が住むきれいな水辺を好みます。かつて水の汚れた川では、姿が減った時期もありました。近年は川の水質がよくなり、都市部の川にもふたたび姿を見せています。カワセミがいることは、その川に魚が多く、水がきれいな目印にもなります。

天敵と身の守り

小さなカワセミには、多くの天敵がいます。空からはハイタカなどの猛禽が、地上ではヘビやイタチが、卵やヒナを狙います。土手の奥深くに掘る巣穴は、こうした敵から卵やヒナを守る役目もはたします。すばやい飛翔も、天敵からのがれる助けになっています。

身近な水辺でも会える

カワセミは、山あいの清流だけに住む鳥ではありません。近ごろは、都市の公園の池や、住宅地を流れる川でも見かけるようになりました。同じ枝でじっと水面を見つめる時間が長いため、その姿は比較的とらえやすい鳥です。水がきれいになり、魚がもどった川に、カワセミもふたたび姿を見せています。身近な水辺で青い姿に出会える場所が、少しずつ増えています。

参考

  • カワセミ Alcedo atthis(Wikipedia日本語版)分類・形態・生態・繁殖
  • 日本野鳥の会 BIRD FAN「カワセミ」形態・鳴き声・生態
  • 国土交通省ほか河川環境の資料 カワセミと水辺環境・営巣

画像の出典

  • アイキャッチ(枝のカワセミ):Andreas Trepte, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons
  • 青い羽のクローズアップ:Frank-2.0, CC0, via Wikimedia Commons
  • メス(下くちばしが赤い):Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • 飛ぶカワセミ:Prasan Shrestha, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • 魚をくわえた姿:Md. Muzahid Billah, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
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