オウサマペンギンは、コウテイペンギンに次いで2番目に大きいペンギンです。首もとのあざやかなオレンジ色がとても美しく、亜南極の島々に、数万羽もの大きな群れをつくって暮らします。茶色いモコモコのひなや、1年以上かかる長い子育てでも知られます。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:鳥綱 Aves
- 目:ペンギン目 Sphenisciformes
- 科:ペンギン科 Spheniscidae
- 属:コウテイペンギン属 Aptenodytes
- 種:オウサマペンギン Aptenodytes patagonicus
和名・英名
- 和名:オウサマペンギン
- 英名:King penguin
名前の由来
英名の「King(王様)」は、堂々とした姿と、大きな体から付けられました。じつは、見つかった当時はいちばん大きなペンギンだと思われていたのです。ところが、あとからもっと大きなコウテイ(皇帝)ペンギンが見つかりました。そのため名前の上では、「皇帝」が「王様」より大きいという、面白いことになったのです。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 体長 約85〜95cm・体重 約11〜16kg(ペンギン2番目の大きさ) |
|---|---|
| 分布 | 亜南極の島々(サウスジョージア島など) |
| 生息環境 | 氷のない島の地上(草地や露岩)と、まわりの海 |
| 食べ物 | 魚・オキアミなど(海の中で捕る) |
| 寿命 | 野生で20年以上とされる |
| 保全状況 | IUCN:軽度懸念(LC) |
あざやかなオレンジのペンギン
首もとのオレンジと大きな体
オウサマペンギンは体長85〜95cm、体重11〜16kgの大型のペンギンです。背中は黒く、おなかは白。そして首もとから耳のあたりにかけて、鮮やかなオレンジ色のもようが入ります。この色は、食べものにふくまれる色素(カロテノイド)からできていて、相手を選ぶときの魅力にもなっているといわれます。細長いくちばしにも、オレンジ色の部分があります。分厚い羽は3つの層からできています。内側のふわふわの綿羽・中間の保温層・外側の防水層が、冷たい海と風から体を守ります。

コウテイペンギンとどう違う?
オウサマペンギンは、コウテイペンギンととてもよく似ています。見分けるポイントは、まず大きさで、オウサマのほうがひとまわり小さめです。また、オレンジ色がより鮮やかで、はっきりしています。暮らし方も違い、コウテイが南極の氷の上で繁殖するのに対し、オウサマは氷のない島の地面で繁殖します。
亜南極の島で暮らす
氷のない島に、数万羽の大コロニー
オウサマペンギンがすむのは、南極よりも少しあたたかい「亜南極」の島々です。サウスジョージア島やケルゲレン諸島などが有名で、気温は0〜10℃ほど。氷におおわれない地面があるため、そこで繁殖します。ひとつのコロニーには、1万羽を超える群れが集まることもあります。サウスジョージア島のソールズベリー平原には、数十万羽が集まる世界最大級のコロニーがあり、地平線までペンギンでうめつくされる圧巻の光景が見られます。

これほどの数の中でも、親子ははぐれません。オウサマペンギンはトランペットのような声で鳴き、ひなは親の声を覚えていて、何千羽の中からでも自分の親を聞き分けることができるのです。
足の上で子育てする
巣を作らず、卵を足にのせる
オウサマペンギンは、コウテイペンギンと同じように巣を作りません。1個の卵を足の上にのせ、おなかの皮のひだをかぶせて温めます。地面の冷たさに左右されずに卵を温められる、かしこいやり方です。両親が交代で卵を抱き、海へ餌をとりに通います。
茶色いモコモコのひな
生まれたひなは、茶色いふわふわの綿毛におおわれています。この綿毛がとても分厚いため、ひなは一時的に、親よりも大きく丸く見えることがあります。あまりに見た目が違うので、昔の人はこれを別の種類の鳥だと思い、「毛におおわれたペンギン」と呼んでいたほどです。じつは同じオウサマペンギンの子どもなのです。この分厚い綿毛は、寒さから体を守り、栄養をたくわえる役目があります。ひなは冬のあいだにたっぷり育ち、やがて綿毛が大人の羽に生えかわると、海へ出ていきます。

世界一のんびりな繁殖サイクル
オウサマペンギンの子育ては、卵から巣立ちまで、なんと13〜16か月もかかります。これはペンギンの中でいちばん長い繁殖サイクルです。ひなは親の羽の下で冬を越し、両親が海から運ぶ餌を、少しずつもらって育ちます。1年では終わらないため、多くの親は1年おきに繁殖します。そのためコロニーには、子育て中のペアと、休んでいる個体が入りまじっています。
食べものと天敵
オウサマペンギンは泳ぎが得意で、翼を使って時速10kmほどで進みます。繁殖期以外は、餌を求めて数千kmもの長い旅をし、海の上で暮らします。食べるのは、中くらいの深さの海にすむ魚やオキアミです。水深60〜300mまでもぐって、目で獲物を追いかけて捕まえます。深い潜水は夜に、浅い潜水は昼に多いなど、獲物の動きに合わせて上手に使い分けます。
海ではオットセイやシャチ、陸では卵やひなをねらうオオトウゾクカモメが天敵です。今のところ数は安定していて、IUCNレッドリストでは「軽度懸念(LC)」とされています。ただし、海水温の変化で餌がとりにくくなり、子育てがうまくいかないコロニーも出はじめています。
知っておきたい豆知識
昔は燃料にされた歴史も
1920年代ごろ、サウスジョージア島などでは、オウサマペンギンが数を大きく減らしました。木の少ないその島で、脂肪の多いペンギンが、火をおこす燃料として大量に使われてしまったのです。今では保護が進み、数は回復しています。かつての反省は、野生動物を大切にする心へとつながっています。
水族館でも会える
オウサマペンギンは、その堂々とした姿と美しいオレンジ色から、水族館でも人気者です。日本でも、大阪の海遊館・長崎ペンギン水族館・和歌山のアドベンチャーワールド・名古屋港水族館など、各地の施設で会うことができます。図鑑で知ったあとに、本物に会いに行くのもおすすめです。


参考
- IUCN Red List: Aptenodytes patagonicus(軽度懸念LC。BirdLife International 2020評価)
- Wikipedia「King penguin」英語版(繁殖サイクル・潜水記録・捕鯨者による乱獲の歴史)


