キングコブラ

ヘビ類

キングコブラは、世界でいちばん長い毒ヘビです。大きなものは、全長5mを超えます。名前のとおり、おもにほかのヘビを食べるヘビとして知られます。強い毒を持つ一方で、ヘビのなかまでは唯一、卵のために巣を作る一面もあります。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:爬虫綱 Reptilia
  • 目:有鱗目 Squamata
  • 科:コブラ科 Elapidae
  • 属:キングコブラ属 Ophiophagus
  • 種:キングコブラ Ophiophagus hannah

和名・英名

  • 和名:キングコブラ
  • 英名:King cobra(王のコブラ)

名前の由来

属名の Ophiophagus は、「ヘビを食べる者」という意味です。ほかのヘビを主な獲物にする、この生き方を表しています。じつは、キングコブラは分類上、「本当のコブラ」(コブラ属)ではありません。ヘビを食べる独自のグループとして、別の属に分けられています。2024年には、地域ごとに4種へ分ける研究も発表されました。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 平均3〜4m・記録は約5.85m(毒ヘビで世界最長)
分布インドから東南アジア、中国南部の森
生息環境森林・竹やぶ・川沿いなど。木にも登る
食べものおもにほかのヘビ(トカゲ・小動物も)
強い神経毒。一度の量が非常に多い
保全状況IUCN: VU(危急)。生息地の減少が脅威

世界でいちばん長い毒ヘビ

熱帯林で立ち上がるキングコブラ
熱帯林で体を立てるキングコブラ(Max Tibby, Public domain, via Wikimedia Commons)

平均3〜4m、記録は5.85m

体を立てて、人と目が合う

キングコブラは、毒を持つヘビのなかで世界最長です。ふつうでも全長3〜4m、大きな個体は5mを超えます。驚いたときは、体の前の3分の1ほどを地面から持ち上げます。大きな個体なら、立ち上がった頭は人の目の高さに届くほど。ヘビに見下ろされるという、めったにない体験をさせる相手です。

「本当のコブラ」ではない

名前に「コブラ」とつきますが、いわゆるコブラ(コブラ属)とは別の仲間です。首を広げる姿は似ているものの、分類上は独立した属。ふつうのコブラより大きく、おもな獲物がヘビである点も異なります。「コブラの王」という名は、その大きさとヘビ食いの習性にちなんだ呼び名です。

フードを広げる威嚇

身の危険を感じると、キングコブラは首のまわりを平たく広げます。この「フード」を張り、頭を高く上げて相手を威嚇します。同時に、低くうなるような音を出すのも特徴です。この音は、犬のうなり声にも例えられます。大きく見せて警告することで、無用な戦いをさけているのです。

ヘビを食べるヘビ

フードを広げて威嚇するキングコブラ
フードを広げた威嚇の姿。首の黒い模様が目立つ(en:User:Dawson, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons)

名前は「ヘビを食べる者」

キングコブラの主食は、ほかのヘビです。ネズミを追うふつうのヘビとは違い、同じヘビを専門に狙います。トカゲや小さな動物を食べることもありますが、多くはありません。獲物のヘビは、大きな口で頭から丸のみ。あとは時間をかけて、ゆっくり消化していきます。名前の「ヘビを食べる者」は、この食生活をよく表しています。

毒ヘビも、共食いも

ほかのヘビの毒に強い

キングコブラは、ほかの毒ヘビも獲物にします。ふつうなら命取りになる毒ヘビでも、平気でおそって食べてしまうのです。餌となる毒ヘビの毒には、ある程度の耐性を持つとされます。ただし、そのしくみには諸説あります。危険な相手さえ食べられること。それが、この大きな体を支えています。

ときには共食いも

獲物には、同じキングコブラがふくまれることもあります。つまり、共食いをすることがあるのです。餌となるヘビが少ない環境では、大きな個体が小さな個体をおそいます。ヘビ食いを徹底した、変わった生き方のヘビです。

大量の毒と、噛まれたら

一度に、大量の神経毒

キングコブラの毒は、神経に作用する強い毒です。特徴は、一度に注ぎこむ毒の量が非常に多いこと。噛まれると麻痺(まひ)や呼吸の障害があらわれ、命に関わります。長い体を生かし、離れた場所から高い位置にも噛みつく相手です。危険なヘビであることは、間違いありません。

毒は飛ばさない、性質はおとなしい

「コブラは毒を飛ばす」と思われがちですが、毒を飛ばすのは別のコブラです。キングコブラは、毒を吹きかけることはしません。また、見た目の危険さのわりに、性質はおとなしいとされます。人を見ると、多くはみずから逃げていきます。人が噛まれる例は、追いつめたり、うっかり近づいたりしたときに多いのです。

噛まれたら

もし噛まれたら、すぐに医療機関で手当てを受けることが第一です。キングコブラの毒には、専用の血清(抗毒素)があります。早く血清を使い、呼吸を助ければ、助かる可能性が高まります。野生の個体に、むやみに近づいたり手を出したりしてはいけません。距離をとることが、最大の身の守りです。

ヘビで唯一、巣を作る

とぐろを巻くキングコブラの頭部
とぐろを巻く大型のキングコブラ(TimVickers, Public domain, via Wikimedia Commons)

メスが落ち葉の巣を作る

卵を集めて、守る

キングコブラは、ヘビのなかで唯一、卵のための巣を作ります。メスは、落ち葉や枯れ枝を体で寄せ集め、山のような巣をつくります。その中に卵を産むと、上に乗って外敵から守ります。多くのヘビが卵を産みっぱなしにするなか、これはめずらしい習性。卵をそばで守り抜くヘビは、キングコブラのほかにほとんどいません。

落ち葉の熱で、温める

積み上げた落ち葉には、卵を温める役目もあります。葉が腐るときに出る熱で、巣の中が暖かく保たれるためです。メスは、卵がかえるまでの数か月、巣のそばを離れません。ただし孵化が近づくと、メスは巣を去るとされます。ヘビを食べる自分が、生まれた子まで食べてしまうのを避けるため、と考えられています。生まれたばかりの子ヘビも、はじめから毒を持っています。

森の王と、その敵

アジアの森にすむ

キングコブラは、インドから東南アジア、中国南部にかけての森にすみます。森林や竹やぶ、川沿いなどが主なすみか。木に登ることも、水を泳ぐこともできます。広い範囲にすんでいますが、数は多くなく、姿を見る機会はまれです。ふだんは人目につかない、静かな暮らしのヘビです。

天敵と、人との関わり

強いキングコブラにも、天敵はいます。すばやいマングースは、毒への耐性を生かしてコブラのなかまと渡り合える、数少ない動物です。ワシやタカなどの猛禽類も、ヘビをおそいます。ただし大人のキングコブラをおそう動物は少なく、狙われるのはおもに小さな子ヘビです。そしていちばんの脅威は、森を切りひらく人の活動。生息地の減少により、キングコブラは絶滅の危険がある種とされています。インドでは国の爬虫類に定められ、古くから神聖な生きものとして敬われてきました。

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参考

  • Wikipedia(英語版)「King cobra」(大きさ・ヘビ食・巣・毒・分布)
  • Wikipedia(日本語版)「キングコブラ」(生態・分布)
  • IUCN Red List:Ophiophagus hannah(保全状況 VU)

画像出典

サムネイル画像: Rushenb, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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