チンパンジー

霊長類(サル・ヒト)

チンパンジーは、アフリカの森にすむ大型の類人猿です。ヒトにもっとも近い動物として知られ、枝や石を道具に使います。オスを中心とした群れで暮らし、ときに100頭をこえる仲間が集まります。腕の力は人を上回り、力の強さでも知られる動物です。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:哺乳綱 Mammalia
  • 目:霊長目 Primates
  • 科:ヒト科 Hominidae(大型類人猿)
  • 種:チンパンジー Pan troglodytes

和名・英名

  • 和名:チンパンジー
  • 英名:Chimpanzee

ヒト科の一員

チンパンジーが属するのは、ヒトやゴリラ、オランウータンと同じヒト科です。これらはまとめて「大型類人猿」と呼ばれます。もっとも近い仲間は、同じチンパンジー属のボノボ。

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大きさ・分布などの基本データ

大きさ体長 約64〜94cm・体重 約26〜60kg(オスが大きい)
分布アフリカ中部・西部の赤道付近
生息環境熱帯林・サバンナ
食べもの雑食(果実・葉・昆虫・小動物など)
群れ15〜150頭。日中は小集団に分かれて行動
寿命野生で約30〜40年/飼育下で50年以上
保全状況IUCN: 絶滅危惧(EN)

サルではなく「類人猿」

チンパンジーの顔
森にすむチンパンジー。尾がなく、腕が長い(Giles Laurent, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

尾のない大型のサル類

尾がなく、大きい体

チンパンジーは、ニホンザルのような「サル」とは区別されます。区別の目印は、尾がなく体が大きいこと。長い腕を持ち、木の上でも地面でもよく動きます。尾のない大型のサル類を「類人猿」と呼び、ゴリラ・オランウータン・テナガザル、そしてヒトがふくまれます。

ヒトにもっとも近い動物

チンパンジーとボノボは、ヒトにもっとも近い現生の動物です。遺伝子(DNA)はヒトと非常によく似ており、全体の98%あまりが共通するとされます。ヒトとチンパンジーが共通の祖先から分かれたのは、およそ650万〜700万年前。顔つきや手の形、表情の豊かさにも、ヒトとの近さが表れています。

ゴリラとの違い

同じヒト科でも、チンパンジーとゴリラは暮らしぶりが対照的です。チンパンジーは中型で動きがすばやく、道具を使う知恵者。果実や昆虫、ときには小動物まで食べる雑食です。いっぽうゴリラは体が大きく力が強い、おだやかな種で、おもに植物を食べます。同じ森にすむ近い仲間でも、体つきや食べ物で見分けられるほど、暮らしぶりは異なります。

道具を使う賢さと、群れの暮らし

道具を使うチンパンジー
枝を手にするチンパンジー。道具を使う知恵で知られる(Giles Laurent, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

道具を使う知恵

枝でのシロアリ釣り

よく知られるのが、細い枝を使ったシロアリ釣りです。枝を巣穴に差しこみ、かみついたシロアリごと引き出して食べます。葉を丸めて水をすくうなど、身のまわりの物も道具に変えます。とがらせた枝で小動物を突く、槍のような使い方まで確かめられています。道具を使う動物は多くありませんが、その中でもとりわけ器用な部類です。

石を使った木の実割り

硬い木の実を割るときは、石を台に使います。台石の上に実を置き、別の石をハンマー代わりに打ちつける方法です。こうした道具の使い方は、群れごとに少しずつ異なります。親から子へ受けつがれるため、群れの「文化」とも呼ばれます。使う道具や割り方には、地域ごとの「やり方」があります。

数字を覚える賢さ

チンパンジーの賢さは、記憶の実験でもよく知られています。京都大学の研究では、画面に一瞬だけ映る数字の位置を、正しい順に覚える課題が行われました。アユムという名のチンパンジーは、9個の数字が0.2秒ほどしか映らなくても、その並びをほぼ正確に当てます。同じ課題では、訓練を積んだ大学生でも及ばないという結果でした。少なくとも一瞬の記憶では、人を上回る力を持つ動物です。

オスを中心とした群れ

15〜150頭の群れ

チンパンジーがつくる群れは、15頭から150頭ほど。オスを頂点とした順位で成り立っています。争いごとの多くは、力ずくではなく順位でおさまります。仲間どうしで毛づくろいをし合い、きずなを深める姿もよく見られます。

小さな集団での行動

大きな群れも、日中は数頭ずつの小集団に分かれて行動します。食べ物のある場所へ、めいめいに散らばって移動する日々です。夜になると、また集まって木の上に寝床をつくります。この離れたり集まったりする暮らしが、離合集散と呼ばれるものです。なわばりを守り、となりの群れとはげしく争うこともあります。

見た目によらない力の強さ

人を上回る腕の力

速筋が多い体つき

チンパンジーは、体の大きさのわりに力の強い動物です。腕を引く力は、人のおよそ1.4倍にもなるとされます。理由の一つが、すばやく大きな力を出す「速筋」の多さ。木の上で体を支え、枝から枝へ移る暮らしに合った体つきです。にぎる力や噛む力も強く、硬い実の殻や太い枝も難なくあつかいます。

強い力と、飼育の危険

強い力と予測しにくい気性から、チンパンジーはペットには向きません。おとなしく見えても、興奮すると人に大けがを負わせることがあります。テレビなどでおなじみの姿とは違い、野生の力を秘めた動物です。海外では、飼われていた個体が人を襲った例も報告されています。

寿命と、数の減少

子を抱くチンパンジー
子を抱えるチンパンジー。子は数年、母親のそばで育つ(Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

野生と飼育での寿命

チンパンジーの寿命は、野生でおよそ30〜40年です。飼育下では50年をこえて生き、60年近くに達した記録もあります。妊娠期間は約8か月で、子は3歳ごろまで母乳で育ちます。乳ばなれのあとも数年は、母親のそばで暮らしながら育つ動物です。

絶滅の危機

野生のチンパンジーは、17万〜30万頭ほどと見積もられています。森林の伐採や密猟、人から広がる病気により、数を減らしてきました。IUCNのレッドリストでの区分は、絶滅危惧種です。ヒトにもっとも近い動物の一つが、いま危機に立たされています。

参考

  • Wikipedia(英語版)「Chimpanzee」― 分類・道具使用・群れ・力・寿命・保全の各節
  • 京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリ「チンパンジーについて」― ヒトとの近さ・DNA・生態
  • チャート研究所「チンパンジーとコンピュータ記憶課題」― アユムの数字記憶の研究

画像出典

アイキャッチ画像:Carlos Valenzuela, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(16:9にトリミングして使用)。本文中の画像は各キャプションに出典を記載しています。

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