クジャクは、大きな飾り羽を扇のように広げることで知られる鳥です。あの長い飾り羽をもつのはオスで、メスは地味な茶色をしています。インド生まれのキジの仲間で、大きな体ながら空を飛ぶこともできます。
分類と学名
クジャクは、ニワトリやキジと同じキジ科の鳥です。日本でクジャクといえば、青い体のインドクジャクを指すことが多く、ここではこの種を中心に紹介します。
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:鳥綱 Aves
- 目:キジ目 Galliformes
- 科:キジ科 Phasianidae
- 属:クジャク属 Pavo
- 種:インドクジャク Pavo cristatus
和名・英名
- 和名:インドクジャク
- 英名:Indian peafowl(オスは peacock、メスは peahen)
クジャクの近縁種
クジャクには、いくつかの種類があります。もっとも有名なのが、青い首をもつインドクジャクです。ほかに、東南アジアに住む緑色のマクジャクや、アフリカの森に住むコンゴクジャクが知られています。コンゴクジャクは、インドクジャクとは別の属に分けられます。動物園でよく見られるのは、インドクジャクです。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | オスは全長1m以上。飾り羽を入れると2mを超える |
|---|---|
| 体重 | 4〜5kgほど |
| 分布 | インド・スリランカが原産。世界各地に移入 |
| 生息環境 | 森林や農地の近く |
| 食べ物 | 草の種・木の実・昆虫・小動物など(雑食) |
| 寿命 | 野生で15年ほど、飼育下で20年以上 |
| 保全状況 | IUCN: LC(軽度懸念)。インドの国鳥 |
オスの飾り羽
オスは飾り羽をふくめると2mをこえ、人の背丈ほどの長さにもなるとされます。クジャクといえば、やはりオスがもつ飾り羽です。扇のように広げた姿は、目玉のような模様で埋めつくされています。頭の上には、うちわのような冠羽(かんう)が立ち、青く輝く首とともによく目立つとされます。首から胸は金属のような青色で、光の当たり方で色の濃さが変わります。冠羽は、先に丸い飾りのついた細い羽が集まったものです。

羽は「尾」ではない
背中から伸びた羽
あの長い飾り羽は、本当は「尾」ではありません。尾の上をおおう「上尾筒(じょうびとう)」という羽が、長く伸びたものです。本当の尾は、その下にかくれた短い羽です。飾り羽を広げるときは、この尾が下から支える役目を果たします。飾り羽は毎年生えかわり、繁殖期に向けて長くのびます。その数は150枚ほどにもなり、長いものは1.5mを超えます。

目玉模様と光る色
飾り羽の先には、目玉のような丸い模様が並びます。この青や緑の輝きは、絵の具のような色素によるものではありません。羽の細かなつくりが光をはね返して生まれる色で、見る角度によって色あいが変わります。こうした色は、構造色(こうぞうしょく)と呼ばれます。並んだ目玉模様は、メスの目を引きつけるはたらきがあると考えられています。一枚の羽に一つずつ模様があり、扇を広げると百をこえる目が並びます。
羽を広げる求愛
扇のように広げて見せる
オスが飾り羽を広げるのは、おもにメスに求愛するときです。羽を大きな扇のように立て、細かくふるわせて音を立てながら、メスに自分を見せます。飾り羽の大きく整ったオスほど、メスに選ばれやすいと考えられています。メスの前では、体の向きを変えながら羽をゆらして見せます。ふだんは羽を広げず、後ろへ長く引きずって歩きます。羽を広げるのは、雨の多い繁殖期の求愛が中心です。繁殖期のオスは、なわばりをもってメスを呼ぶとされます。日の光を受けると、飾り羽の色はいっそう強く見えます。
メスは羽を広げない
大きな飾り羽をもつのは、オスだけです。メスには長い飾り羽がなく、羽を広げることもありません。羽を広げるのはオスの求愛の行動なので、繁殖期をすぎる夏の終わりごろに、飾り羽は抜け落ちていきます。羽を広げていないときは、あの扇の模様は見えません。
地味なメスと子育て
オスとは対照的に、メスの体は地味な茶色です。この色の違いには、はっきりとした理由があります。
メスは茶色い保護色
メスの茶色い体は、まわりの草や土に溶けこむ保護色です。クジャクは地面に巣をつくって卵を産むため、目立たない色のほうが、卵やヒナを守るのに役立ちます。もし派手な色だと、天敵に見つかりやすくなります。オスの目立つ姿とメスの地味な姿は、それぞれ別の役目をもっています。
卵とヒナ
メスは、一度に3〜8個ほどの卵を産みます。卵は、メスがひとりで4週間ほどあたためるとされます。かえったヒナは、生まれてまもなく自分で歩き、親のあとについて餌を探します。ヒナのうちは、オスもメスも地味な色をしていて、オスの長い飾り羽が生えそろうのは3歳ごろからです。一羽のオスが、複数のメスと過ごすこともあります。ヒナは虫などを食べ、しばらく母親とともに過ごしながら育ちます。
大きくても飛べる暮らし
大きな体と長い飾り羽をもつクジャクですが、空を飛ぶこともできます。地上と樹上を行き来する暮らしぶりです。

空を飛び、木で眠る
短い距離を飛ぶ
クジャクは、大きな体でも短い距離なら飛べます。おもに木へ飛び上がるときや、少し先へ移るときに飛ぶとされます。長い飾り羽をもつオスも、飛ぶことができます。ただし羽ばたきは重々しく、長い距離を飛び続けるのは苦手です。
夜は木の上で眠る
夜は、天敵から逃れるために、高い木の上にとまって眠ります。ただし、危険がせまったときは、飛ぶよりも草むらを走って逃げることが多いようです。野生では、トラや野犬、大きな鳥などに狙われます。地上で暮らす時間が長い鳥です。
何でも食べ、大声で鳴く
クジャクは雑食で、草の種や木の実・昆虫のほか、小さなヘビやトカゲなども食べます。鳴き声はとても大きく、「ミャーオ」とも聞こえる声で鳴きます。この声は、天敵が近づいたときに、仲間へ知らせる役目もあるとされています。インドでは、トラなどの気配を告げる声としても知られています。ほかにもいくつかの声を使い分け、とくに朝や雨が近づいたときによく鳴きます。畑の作物を食べることもあり、農家に困られる面もあります。
人とのかかわり
クジャクは、その見ばえから、古くから人々に親しまれてきました。世界の各地で飼われ、絵や模様にも数多く描かれています。
インドの国鳥
クジャクは、原産地であるインドの国の鳥に定められています。村の近くや畑のまわりでもよく見かける身近な鳥で、古くから神聖な鳥とされ、神話や宗教の絵にもよく登場します。ヒンドゥー教では、神の乗り物として描かれることもあります。その飾り羽は、世界中で装飾やお守りに使われてきたものです。世界の公園や農場でも放し飼いにされ、アメリカやオーストラリアなどでは野生化した群れもいます。抜け落ちた飾り羽は、かざりものやおみやげとして、一枚ずつ売られていることもあります。日本でも、動物園の人気者として親しまれています。
飼われるクジャクと白いクジャク
クジャクは観賞用として飼われることもあります。ただし体が大きく、鳴き声も大きいため、家庭では飼いにくい鳥です。おもに動物園や専門の施設で飼われています。飼育のなかで、体が真っ白な「白いクジャク」も生み出されました。これは色素をなくしたアルビノではなく、白い羽をもつように変わった個体で、羽には目玉模様がうっすらと残ります。白いクジャクは数が少なく、縁起のよい鳥として親しまれています。ほかにも、羽の一部が黒っぽくなった品種などが知られています。クジャクは、日本各地の動物園や放し飼いの施設で見ることができます。
参考
- Indian peafowl(en.wikipedia.org)分類・飾り羽・求愛・飛翔・繁殖・分布
- IUCN Red List「Pavo cristatus」保全状況(軽度懸念)
- インドクジャク(ja.wikipedia.org)上尾筒・構造色・国鳥
画像出典
- アイキャッチ:Jebulon, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons(Pavo cristatus)
- 顔の写真:Clément Bardot, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(Indian peafowl)
- 羽の写真:MichaelMaggs, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons(Feather of male Pavo cristatus)
- 木にとまる写真:Giles Laurent, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(Indian peafowl, Keoladeo National Park)


