キツツキ

木の幹にとまるアカゲラ 小型陸鳥

キツツキは、木の幹にとまって、くちばしで木をつつく鳥の仲間です。硬い木を打つ「コンコン」という音や、幹を素早く打ち鳴らす音で、その存在に気づくことがあります。森はもちろん、都市の公園でも見られる種類がいて、身近な鳥です。木を垂直に登り、幹の虫をとらえる姿は、ほかの鳥にはない特徴です。

あれほど激しく頭を打ちつけても平気なのは、長いあいだ謎とされてきました。この点は、近ごろの研究で新しいことが分かってきました。木をつつく理由や頭を守るしくみ、木登りに向いた体、そしていろいろな種類までを順に見ていきます。

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分類と学名

分類階層

キツツキは、キツツキ目キツツキ科に入る鳥の総称です。世界にはおよそ200種以上が知られ、日本にも十数種が住んでいます。小さなコゲラから、大きなクマゲラまで、大きさや色はさまざまです。ここでは特定の一種ではなく、キツツキの仲間全体を見ていきます。

  • 目:キツツキ目
  • 科:キツツキ科
  • おもな種類:コゲラ・アカゲラ・アオゲラ・クマゲラ など
  • 分布:南極やオーストラリアなどを除く、世界の広い地域

名前の由来

「キツツキ」という名前は、「木を突く」様子からきています。昔は「ケラ」や「テラツツキ」とも呼ばれていました。種類の名前に「ゲラ」がつくのは、この古い呼び名のなごりです。アカゲラ・アオゲラ・コゲラなど、色や大きさを表す言葉に「ゲラ」が結びついています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 約15〜45cm(種類により大きく異なる)
分布世界の森林・林(南極やオーストラリアなどを除く)
生息環境森・林・雑木林・都市の公園など
食べ物木の中の虫・アリ・木の実など
特徴木を垂直に登る、くちばしで木をつつく、長い舌
くちばしで木に穴を掘り、その中で子を育てる

なぜ木をつつくのか

キツツキが木をつつくのには、大きく3つの理由があります。どれも、キツツキが生きていくために欠かせない行いです。

木の幹をつつくアカゲラ
木の幹にとまって虫をさがすアカゲラ。撮影:Yasuo Hamashima(CC BY-SA 4.0)

3つの理由

餌をさがす

一番の理由は、餌をとるためです。木の幹や枝の中には、樹皮の下や木の内部に、虫やその幼虫がひそんでいます。キツツキは幹を打って穴をあけ、中にいる虫を引き出して食べます。硬い木の奥にいる虫を食べられるのは、キツツキならではの強みです。

巣の穴を掘る

2つめは、巣をつくるためです。キツツキは、立ち枯れた木や幹に、くちばしで丸い穴を掘ります。その穴の中に卵を産み、ひなを育てます。外敵から身を守れる、木の中の安全な部屋です。

音で伝えるドラミング

3つめは、音を出して仲間に合図するためです。キツツキは、乾いた枝などを高速で連打し、遠くまで響く音を出します。これは「ドラミング」と呼ばれ、なわばりを主張したり、相手をさがしたりする合図になります。美しい歌をもたないかわりに、この音を鳴き声のように使っています。打つ速さやリズムは種類によって違い、それぞれの合図になっています。

頭は痛くないのか

あれほど激しく頭を打ちつけて、キツツキの脳は無事なのでしょうか。これは長く不思議に思われてきた点で、近ごろの研究で見方が変わってきました。

昔の説と新しい研究

「衝撃を吸収する」と言われてきた

以前は、キツツキの頭には衝撃を吸収するしくみがあると説明されてきました。骨がスポンジのようになっていることや、舌の骨が頭を包んでいることが、その根拠とされてきました。このため、頭が天然のヘルメットのように脳を守っている、と考えられていました。

小さく軽い脳が守っている

ところが、高速のカメラでつつく瞬間を調べた近年の研究では、頭はほとんど衝撃を吸収していないと報告されました。もし吸収してしまえば、木を打つ力も弱まるからだと考えられています。無事でいられる理由は、脳の大きさにあります。キツツキの脳は人よりずっと小さく軽いため、同じ衝撃でも脳が傷つきにくいのだと見られています。一般に、頭が小さいほど強い衝撃にも耐えやすいことが知られています。頭は硬いハンマーのように働き、小さな脳がそれに耐えている、というわけです。

木を登るための体

キツツキの体は、垂直な木の幹で暮らすのに、うまくできています。くちばし・舌・足・尾のどれもが、木登りと木つつきに役立っています。

くちばし・舌・足・尾

長い舌

キツツキの舌は、体に対して非常に長くのびます。使わないときは、舌のもとが頭の後ろから上へと回り込み、頭をぐるりと包むように収まっています。舌の先はとがっていて、細かいとげや粘りけがあります。穴の奥の虫をひっかけたり、くっつけたりして引き出します。この長い舌のおかげで、木の奥の虫にも届きます。

木をつかむ足と支える尾

キツツキの足の指は、多くの種類で前に2本、後ろに2本に分かれています。この形は、幹をしっかりつかむのに向いています。さらに、尾の羽は硬く丈夫で、幹に押しつけて体を支えるつっかえ棒の役目をします。足と尾で三点で体を支えるので、垂直な幹でも安定してつつけます。

つつく速さ

1秒に何回もつつく

キツツキが木をつつく速さは際立っています。餌をさがすときやドラミングのときには、1秒間に20回ほども打つことがあります。一日でみれば、その回数は何千回にもなります。これだけの速さで打ち続けても平気なのは、前に述べた体のしくみによるものです。木を打つたびに響く音は、キツツキが元気に暮らしているしるしでもあります。

いろいろな種類

身近なコゲラ

コゲラは、日本で一番身近なキツツキです。スズメほどの小さな体で、背中には白と黒のしま模様があります。街なかの公園や庭木でも見られ、「ギィー」という声を出しながら、細い枝を回るように動きます。小さな体ながら、しっかりと木をつつく、立派なキツツキです。

小さなキツツキのコゲラ
日本で一番身近なキツツキ、コゲラ。撮影:Lip Kee(CC BY-SA 2.0)

アカゲラとアオゲラ

アカゲラは、白と黒の体に赤い色が入る、美しいキツツキです。林や森でよく見られ、木の幹を打つ姿が目につきます。アオゲラは、背中が緑がかった色をした、日本にしかいない固有種です。どちらも中くらいの大きさで、日本の森を代表するキツツキといえます。

日本固有種のアオゲラ
背が緑がかった、日本固有種のアオゲラ。撮影:Yasuo Hamashima(CC BY-SA 4.0)

大きなクマゲラ

クマゲラは全身が黒く、頭に赤い色をもつ、日本で最大のキツツキです。北海道や本州の一部の深い森に住んでいます。大きな体で木を掘るため、幹に縦長の大きな穴をあけることもあります。クマゲラやノグチゲラのように、天然記念物として大切に守られている種類もいます。

日本最大のキツツキ、クマゲラ
全身が黒い、日本最大のキツツキ、クマゲラ。撮影:Thomas Fuhrmann(CC BY-SA 4.0)

木をつつかないアリスイ

キツツキの仲間には、あまり木をつつかない変わり者もいます。アリスイは、地面や木の上でアリを主に食べるキツツキで、名前もそこからきています。危険を感じると、首をくねらせてヘビのように見せる行動で知られます。同じ科の鳥でも、暮らし方はさまざまです。

森の大工

キツツキが掘った穴は、キツツキだけのものではありません。使われなくなった古い巣穴は、ほかの生き物のすみかになります。シジュウカラやムクドリなどの小鳥、ときにはムササビやフクロウまでが、この穴を利用します。木に穴を掘るキツツキは、森の中で多くの生き物のすみかを生み出します。いわば、森の大工。

キツツキの古い巣穴をすみかにする動物には、木から木へ滑空するモモンガもいます。

モモンガ
モモンガは、皮膜を広げて木から木へ滑空する、手のひらサイズのリスの仲間です。滑空する体のつくりや、よく似たムササビとの見分け方に特徴があります。分類と学名分類階層界:動物界 Animalia門:脊索動物門 Chordata綱:哺乳綱 Mam...
キツツキが掘った木の穴
キツツキが幹に掘った穴。古い穴はほかの生き物のすみかになります。撮影:Seney Natural History Association(CC BY-SA 2.0)

どこで会えるか

キツツキは、森や林はもちろん、都市の公園や神社の木立でも会えます。とくにコゲラは、身近な緑地でよく見つかる種類です。姿が見えなくても、「コンコン」という木を打つ音や素早いドラミングの音が、キツツキのいる合図になります。木の幹を、らせんを描くように登っていく鳥。それはキツツキの仲間かもしれません。

参考

  • Wikipedia「キツツキ科」「Woodpecker」
  • Van Wassenbergh et al., Current Biology(2022)ほか、頭部の衝撃に関する研究
  • Encyclopædia Britannica「Woodpecker」ほか

画像出典

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