メジロ

小型陸鳥

メジロは、目の周りに白い縁取り(アイリング)を持つ全長12cmほどの小鳥で、日本では梅や桜の花で吸蜜する姿でよく親しまれています。「ウグイス色」や「梅にウグイス」といったウグイスとの混同でもたびたび話題になる鳥で、混み合った様子を表す「目白押し」の慣用句にも姿を残しています。

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分類と学名

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:脊索動物門 Chordata
  • 綱:鳥綱 Aves
  • 目:スズメ目 Passeriformes
  • 科:メジロ科 Zosteropidae
  • 属:メジロ属 Zosterops
  • 種:メジロ Zosterops japonicus

和名・英名

  • 和名:メジロ(目白・繍眼児)
  • 英名:Warbling white-eye

「目白」と「繍眼児」の由来

「メジロ(目白)」の名は、目の周囲を縁取る白い羽毛(アイリング)から来ています。この白いリングは他の鳥では見られない目立つ特徴で、遠目でも一目で本種と分かります。室町時代にはすでにメジロの名で知られていました。

もう一つの漢字表記「繍眼児(しゅうがんじ)」は漢語に由来し、「目の周りに刺繍されたような羽毛を持つ小鳥」の意とする説があります。英名の Warbling white-eye も「white-eye(白い目)」=アイリングにちなむ命名で、和名と英名が同じ特徴を指しています。

大きさ・分布などの基本データ

大きさ全長 約12cm(スズメより小さい)/翼開長 約18cm
分布日本(北海道〜九州)・朝鮮半島・フィリピン・インドネシア・東ティモール。ハワイ諸島に移入
生息環境常緑広葉樹林・雑木林・里山・公園・住宅地。花のある樹木を巡って移動
食性雑食。花蜜・果実を強く好み、育雛期には昆虫も捕食
繁殖番いで縄張り分散。カラ類との混群を作ることも多い
保全状況IUCN:LC(低危険種/2019年評価)/ダイトウメジロは沖縄県RLで準絶滅危惧

姿と体のつくり

全長12cmのスズメより小さい鳥

枝に止まるメジロの全身
Laitche, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

全長は約12cmで、翼開長は約18cm。日本の身近な小鳥のなかでも小型の部類で、スズメより一回り小さい体をしています。細く尖った嘴は花蜜を吸うのに向いた形で、細い枝先や花の中まで自在に出入りできます。

雌雄同色で、外見からオスとメスを見分けることはできません。番いを組んでいる時期には、2羽が鳴き交わしながら花を巡る姿がよく観察されます。

目の周りのアイリング

みかんの上に止まるメジロ・アイリングがはっきり見える
Maga-chan, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

もっとも目を引くのが、目の周囲を縁取る白い羽毛(アイリング)です。眼の周りに白い輪が浮かび、遠目にもよく目立ちます。アイリングの内側には黒く細い縁があり、白と黒の対比がはっきりして「白い目」の印象を強めます。

他の緑色寄りの小鳥と比べたとき、この白いリングの有無だけで即座に判別できます。近縁の緑系スズメ目小鳥のなかでも、本種の識別点として独立した形質になっています。

体色 ―「ウグイス色」の正体

ツバキに近づくメジロの顔・黄緑色の背
Laitche, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

背は緑がかった黄緑色で、翼は暗褐色・腹は淡いクリーム色から白・喉には黄色みが乗ります。日本人が「ウグイス色」と聞いて思い浮かべる鮮やかな黄緑色は、実際のウグイス(灰褐色〜オリーブ色)ではなく、このメジロの背の色に近いといわれます。旧国鉄の「黄緑6号」(山手線などの車体色)も、メジロ寄りの緑として知られる色です。

ウグイスとの見分け方

ツバキの枝に止まるメジロ
Laitche, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

メジロとウグイスは、春先の梅の周りに現れる代表種として古くから混同されがちです。両者は姿も生態もはっきり異なる別種で、識別点をおさえれば区別に迷いません。

姿の違い ―色と目の縁取り

メジロ ―黄緑にアイリング

メジロは背が鮮やかな黄緑色で、目の周りに白い縁取り(アイリング)があります。全長は約12cmと小さく、花に群がって蜜を吸う姿がよく見られる、警戒心の緩い鳥です。庭木や花の枝先で近距離から観察できます。

ウグイス ―地味な茶褐色

ウグイス(Horornis diphone)は背が地味な灰褐色〜オリーブ色で、アイリングはありません。全長は約14〜16cmとメジロより一回り大きく、警戒心が強くて藪の中に潜む鳥です。人前に出てくることはまれで、姿を目にする機会は多くありません。

鳴き声の違い

鳴き声も系統が違います。ウグイスは春の代名詞の「ホーホケキョ」と、澄んだ長い節回しでさえずります。対してメジロは「チー、チー」と短く鋭い地鳴きが多く、さえずりは細かく高い連続音になります。ウグイスとはまったく違う声質です。

「梅にウグイス」と「ウグイス色」

ウグイスは主に虫や木の実を食べ、花蜜はめったに吸いません。梅の花に群がるのはもっぱらメジロで、そのため「梅の花で吸蜜している鶯」というよく見る構図は、メジロを見誤ったものであることが多いといわれます。

ただし古典的な「梅にウグイス」は、梅の花と鶯の声を取り合わせた春の風情を意味する慣用句で、両者が同じ枝にとまっている必要はありません。「梅にウグイスはメジロの誤解」という言い方自体にも俗説の側面があります。慣用句として使われる「梅にウグイス」は春の風情の取り合わせを指し、実景として梅の花で吸蜜しているのは多くの場合メジロである、と整理できます。

食性 ―花蜜と虫

早春の梅と桜

梅の花で吸蜜するメジロ
Hyppolyte de Saint-Rambert, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

花期に合わせた移動

メジロは雑食ですが、花の蜜と果実を強く好みます。特に早春にはツバキや梅の花に群がり、細い嘴を花筒に差し込んで蜜を吸います。花期に合わせて南から北へ移動する個体もいるほどで、花のスケジュールが行動を決めているといえます。

桜と柿・冬のヨシ原

ソメイヨシノが開花すると、ヒヨドリやスズメと同じ樹に集まってきて、花の蜜を吸う姿がよく見られます。秋には熟した柿や果実も好み、庭先に切った果物や砂糖水を吊しておくとメジロが呼び寄せられます。冬季にはヨシ原で観察されることもあり、アシに付いた昆虫を採食していると考えられています。

桜の花で吸蜜するメジロ
Laitche, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

育雛期は昆虫を食べる

雛を育てる繁殖期には、動物性のたんぱく質が必要になるため、昆虫も積極的に捕食します。花蜜だけでは雛の成長に必要な栄養が不足するためで、成鳥は花と昆虫を両方追いかける生活になります。花蜜食の鳥として知られる本種も、生活の要所では虫にしっかり依存しています。

群れと「目白押し」

カラ類との混群

非繁殖期には山地から平地へ移動し、群れで行動します。しばしばシジュウカラ・ヤマガラなどのカラ類と混群を作り、共に採食しながら林を移動します。混群は捕食者の発見効率を高め、採食場所の情報共有にもつながるとされます。

「目白押し」の語源

枝に押し合いながら並ぶ習性

メジロは睡眠時、群れ全体がひとかたまりになって枝に並んで止まる習性を持ちます。夕暮れ時には、より暖かい中心に割り込もうと、互いに押し合うように枝に並ぶ光景が見られます。この習性から、込み合っていることや物事が多くあることを意味する「目白押し」という慣用句が生まれました。

子どもの遊びから慣用句へ

「目白押し」は、縁台に一列に並んで腰かけ、肩を左右に押し合って端の者を順々に押し出す子どもの遊びも指しました。メジロの並び方から遊びが生まれ、遊びから慣用句が定着したという言葉の流れが伝わっています。

亜種と地域個体群

日本の主な亜種

メジロには複数の亜種があり、日本国内だけでも基亜種メジロ・シチトウメジロ(伊豆諸島)・イオウトウメジロ(硫黄列島)・ダイトウメジロ(大東諸島)・シマメジロ(種子島・屋久島)・リュウキュウメジロ(奄美以南)が知られています。喉や体側の黄色・赤褐色の濃淡や、嘴の太さと長さで区別されます。

ダイトウメジロは準絶滅危惧

大東諸島(南大東島・北大東島)に分布する亜種ダイトウメジロは、額の黄色部が大型ではっきりしており、喉の黄色部もアイリング輪郭の黒色部まで達する特徴があります。分布が限定的で、森林伐採による営巣地の破壊や人為的に移入されたネコ・ネズミなどによる捕食の影響が懸念されています。2017年に沖縄県レッドリストで準絶滅危惧に指定されました。

ハワイ諸島への移入

ハワイ諸島には日本から害虫駆除の目的で移入されました。近年、外来種としてハワイの在来生態系へ影響を及ぼしていることが指摘されています。花蜜食で群れをつくる本種の性質が、島嶼の花と鳥の関係のなかで新たな競合を生んでいるためです。

人との関わり ―鳴き合わせと保護

和鳥としての歴史と「鳴き合わせ」

メジロは声が良いことから、江戸時代から「和鳥」として飼われてきました。明治17年(1884年)に村上定太郎の考案で始まったとされる「鳴き合わせ」では、囀りの美しさや回数の多さで優劣を競い、優秀な個体には「横綱」「大関」といった称号も与えられました。西日本を中心に「鳴き合わせ会」の伝統は現代まで続いています。

密猟と法規制

鳴き合わせで優秀な個体は高値で取引され、時に数百万円に達することもあり、密猟の対象となってきました。かつては暴力団の資金源になっていたとの指摘もあります。2011年の鳥獣保護法改正で、国内産の鳥類は愛玩目的での捕獲・飼育が原則禁止となり、以後は都道府県知事の許可がなければ捕獲できません。

亜種ヒメメジロの輸入問題

現行法では日本国外で捕らえた野鳥の輸入と飼育は禁止されていません。この抜け穴を利用し、中国などから亜種ヒメメジロ(Zosterops japonicus simplex)を輸入する動きが出ています。国内で密猟したメジロに輸入証明書を付けて販売する悪質な業者・それを買い求める者が現れて問題になっています。日本野鳥の会などの野鳥保護団体は、識別マニュアルの制作・頒布などで啓発活動を続けています。

県鳥・切手

メジロは和歌山県と大分県の県鳥に指定されているほか、2007年(平成19年)までは50円普通切手の絵柄にも採用されていました。県鳥指定と切手採用の例からも、人間の生活圏で長く扱われてきた鳥であることが伝わります。

保全状況

IUCNレッドリスト(2019年評価)ではLC(低危険種)で、分布域が広いため種としての絶滅懸念は低いとされています。ただし国内ではペット目的の乱獲による影響が懸念されており、地域個体群レベルでは注意が必要です。前述のダイトウメジロは沖縄県レッドリストで準絶滅危惧に指定されています。

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参考

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