コンドルは、南北アメリカの空を舞い、動物の死骸を食べて暮らす大型の鳥です。アンデスコンドルは翼を広げると3メートル近くになり、世界でもっとも大きな飛ぶ鳥の一つに数えられます。旧世界のハゲワシとよく似た姿をしていますが、これは別のグループです。においで死骸を探せる種がいるなど、独自の特徴をもっています。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:鳥綱 Aves
- 目:タカ目 Accipitriformes(コンドル目とする説もある)
- 科:コンドル科 Cathartidae
- (新世界のコンドルの仲間:5属7種)
和名・英名
- 和名:コンドル(新世界ハゲワシ)
- 英名:New World vulture/condor
ハゲワシとは別の仲間
コンドルは、アフリカやアジアで暮らすハゲワシ(旧世界ハゲワシ)とよく似ていますが、近い親戚ではありません。ハゲワシがタカ科なのに対し、コンドルはコンドル科という別のグループです。死骸を食べる似た暮らしのなかで、それぞれ別々に今の姿へと進化しました。「新世界のハゲワシ」と呼ばれるのは、南北アメリカ(新世界)に暮らすためです。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 種により全長 約60〜130cm/翼を広げた幅 約1.5〜3.2m |
|---|---|
| 仲間の数 | コンドル科で5属7種 |
| 分布 | 南北アメリカ。アンデス山脈からアメリカ、カナダ南部まで |
| 生息環境 | 山岳・草原・砂漠・海岸など、見通しのよい土地や森 |
| 食べ物 | おもに動物の死骸(腐肉) |
| 寿命 | 大型の種で野生・飼育下ともに50年をこえることもある |
| 保全状況 | IUCN:アンデスコンドルは危急(VU)、カリフォルニアコンドルは深刻な危機(CR) |

アメリカ大陸で最大級の飛ぶ鳥
翼を広げれば3メートル
コンドルの仲間で最大なのが、南米で暮らすアンデスコンドルです。翼を広げた幅は3メートル前後に達し、体重は15キログラムにもなります。翼と体重を合わせて考えると、世界でもっとも大きな飛ぶ鳥の一つです。この大きな翼で、上昇気流に乗り、ほとんど羽ばたかずに何時間も高い空を舞いつづけます。アンデスの高い山の上を、悠々と滑空する姿でよく知られます。大きく重い体のため、地上から羽ばたいて飛び立つのは苦手で、崖や高い場所から身を乗り出すように飛び立ちます。
黒い体と、オスのとさか
アンデスコンドルの成鳥は、黒い体に、翼の上面と首まわりの白い羽が目立ちます。頭には羽がほとんどなく、地肌がむき出しになっています。多くのタカやワシではメスのほうが大きいのに対し、コンドルはオスのほうが大きいという、珍しい特徴をもちます。オスの頭には、とさかのような肉の出っ張りがあり、オスとメスを見分ける手がかりになります。若いコンドルは全体が褐色です。成鳥のような黒と白の羽になるまでには、数年かかります。

においで死骸を探す
鼻のきくヒメコンドル
コンドルの仲間には、においで死骸を探せる種がいます。代表がヒメコンドルで、腐りはじめた動物から立ちのぼるわずかなにおいをかぎ分け、森の木々に隠れた死骸も見つけ出します。鳥は一般ににおいに鈍いとされてきましたが、ヒメコンドルはその例外です。その嗅覚は鋭く、遠くの死骸から立ちのぼるかすかなにおいもとらえるといわれます。上空をゆっくり飛びながら、目とともに鼻を使って、餌を探しています。
目でしか探せない旧世界ハゲワシとの違い
アフリカやアジアの旧世界ハゲワシは、においで死骸を探すことができず、もっぱら目に頼ります。そのため、開けた草原の死骸は見つけやすくても、森の中の死骸は見つけにくいという弱点があります。においを使えるヒメコンドルは、森の中でも餌にたどりつけます。クロコンドルのようににおいの鈍い種は、ヒメコンドルのあとをついて死骸にありつくこともあるとされます。

いろいろなコンドル
アンデスコンドルとカリフォルニアコンドル
コンドルの仲間は、大きく分けて七つの種がいます。とくに大きいのが、南米のアンデスコンドルと、北米のカリフォルニアコンドルです。カリフォルニアコンドルも翼を広げると3メートル近くになり、北アメリカでもっとも大きな飛ぶ鳥です。どちらも山がちの土地を好み、大きな翼で長い距離を滑空しながら死骸を探します。
赤い頭のヒメコンドルと、色あざやかなキガシラコンドル
小型の種では、頭が赤いヒメコンドルがよく知られます。頭の色や姿が七面鳥に似ていることから、英語では「ターキー(七面鳥)ハゲワシ」と呼ばれます。中南米の森には、キガシラコンドルという種もいます。頭が黄・橙・赤などに彩られ、コンドルの仲間のなかでもひときわ目立つ姿をしています。同じ新世界のコンドルでも、大きさや頭の色はさまざまです。

カリフォルニアコンドルの復活
二十数羽まで減った鳥
カリフォルニアコンドルは、二十世紀に絶滅の一歩手前まで追いつめられました。狩猟や生息地の減少、鉛による中毒などが重なり、1980年代には野生でわずか二十数羽にまで減ってしまいます。コンドルは、一度に産む卵がふつう1個で、ヒナが独り立ちするまでには数年かかります。もともと数の増えにくい鳥のため、一度減ると、取り戻すのは簡単ではありません。このままでは絶滅すると考えた人々は、思いきった手を打ちました。1987年までに、最後の野生の個体をすべて捕まえ、飼育下で守ることを決めました。
飼育から野生へ、そして続く鉛中毒
動物園などで大切に育てられたコンドルは、少しずつその数を増やしました。育ったコンドルは、1990年代から順に野生へ放され、ふたたび空を舞うようになります。今では、飼育下と野生を合わせて五百羽をこえるまでになっています。それでも、まだ安心はできません。狩猟で残された動物の体に含まれる鉛の弾を食べてしまう鉛中毒が、今も回復の妨げになっています。無鉛の弾への切り替えなど、対策が続けられています。

アンデスの空の象徴
南米の国の鳥として
アンデスコンドルは、南アメリカの人々にとって特別な鳥です。ボリビア・チリ・コロンビア・エクアドルでは、国の鳥に選ばれています。高い空を舞う雄大な姿から、古くから力や自由の象徴とされ、インカをはじめとする神話や祭りにもたびたび登場してきました。アンデスの高地では、今も上空を舞うその姿が見られます。
日本とコンドル
動物園で会える
コンドルは南北アメリカだけで暮らす鳥で、日本の野外で見ることはできません。ただし、いくつかの動物園ではアンデスコンドルなどが飼育されており、その大きな翼や羽のない頭を間近で見られます。なお、コンドルの仲間は日本では特定動物にあたり、ペットとして飼うことはできません。日本でこの大きな鳥を目にできるのは、おもに動物園にかぎられます。
コンドルの豆知識
脚に排泄して体を冷やす
コンドルには、変わった体温調節の方法があります。暑いときには、自分の脚に白い排泄物をかけることがあります。それが乾くときに周りの熱を奪う性質を利用して、体を冷やしていると考えられています。これは同じ掃除屋の旧世界ハゲワシにも見られる行動で、開けた暑い土地で暮らす鳥に共通するしくみです。また、コンドルには鳴くための器官(鳴管)がなく、美しくさえずることはできません。出せるのは、シューッという息の音や、低いうなり声くらいです。



参考
- English Wikipedia「New World vulture」(分類・嗅覚・行動・保全)
- English Wikipedia「California condor」「Andean condor」(各種の生態・保護)
- ウィキペディア「コンドル」(コンドル科・種類・日本での飼育)
画像の出典
- アイキャッチ(アンデスコンドルの頭部):Michael Gäbler, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
- 飛翔:Thomas Fuhrmann, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- ヒメコンドル:Frank Schulenburg, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- 死骸に集まる個体:Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- 若い個体:Rjcastillo, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- とまるオス:Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons


