カモは、池や川、海辺などの水辺で見られる身近な水鳥です。ずんぐりした体、水かきのついた足、平たいくちばし。それがカモの目印です。公園の池でパンをもらう姿から、冬の空を列になって渡る姿まで、その暮らしはさまざまです。ひとくちにカモといっても、多くの種類がいて、色も大きさもいろいろです。
身近なわりに、カモには知られていないことが多くあります。アヒルとの深い関係、オスとメスで見た目が大きく違うこと、生まれてすぐ歩き出すヒナ。見た目や暮らしには、種類ごとに違いがあります。カモの仲間の分け方や種類、アヒルとの違い、子育てや渡りまでを順に見ていきます。
分類と学名
分類階層
カモは、カモ目カモ科に入る水鳥の総称です。カモ科には、カモのほかにガンやハクチョウも含まれます。小さめのものがカモ、中くらいがガン、大きいものがハクチョウにあたります。日本では数十種のカモが見られ、その多くは冬にやってくる冬鳥です。
カモとガン、ハクチョウ
同じカモ科でも、大きさや首の長さで見分けられます。ハクチョウは首が長く、体も飛び抜けて大きい水鳥です。ガンはその中間で、カモは首が短く、いちばん小さなグループにあたります。

大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長 約35〜60cm(種類による) |
|---|---|
| 分布 | 南極を除く世界の広い地域 |
| 生息環境 | 池・川・湖・海辺・田んぼなどの水辺 |
| 食べ物 | 水草・種・貝・小さな虫など(雑食が多い) |
| 渡り | 多くは冬鳥として渡来(カルガモなどは一年中いる) |
| 仲間 | ガン・ハクチョウと同じカモ科 |
アヒルとの違い
アヒルとマガモのつながり
飛べる野生、飛びにくい家きん
アヒルは、もとは野生のマガモを飼いならしたものと考えられています。長い年月をかけて、たくさん卵を産み、肉づきのよい体になるように育てられてきました。その結果、体が重くなり、ほとんど飛べなくなったものが多くなりました。羽の白いものをはじめ、さまざまな品種が作り出されています。空を自由に渡る野生のカモと、地上で人に飼われるアヒルの、いちばんの違いがここにあります。
アイガモという交配種
マガモとアヒルをかけ合わせた鳥は、「アイガモ」と呼ばれます。田んぼに放して害虫や雑草を食べてもらう「合鴨農法」に使われることで知られます。もとは同じマガモから分かれた仲間なので、たがいにかけ合わせることができるのです。白い羽のアヒルも、緑の頭のマガモも、もとをたどれば近い仲間だとされます。ただし、地域や品種によっては、カルガモなど別の種の血が混じるという見方もあります。
いろいろな種類
身近なマガモとカルガモ
冬に渡ってくるマガモ
マガモは、日本でよく見られる代表的なカモです。オスは頭が青緑色に光り、黄色いくちばしをもっています。おもに冬鳥として、北の国から日本へ渡ってきます。公園の池や川で群れているカモの多くは、このマガモや、その仲間です。よく鳴く「グワッグワッ」という声はメスのもので、オスはあまり大きな声を出しません。

一年中いるカルガモ
カルガモは、渡りをせず、日本に一年中いるカモです。オスとメスがよく似た茶色っぽい姿で、くちばしの先が黄色いのが目印です。都市の池や川でも子を育て、春から夏には親子の行列が話題になります。多くのカモが冬鳥であるなかで、身近に子育てを見せてくれる種類です。
水にもぐるカモ
カモには、水面で餌をとる種類のほかに、水にもぐって餌をとる種類もいます。キンクロハジロやホシハジロは、水中に深くもぐって、水底の貝や水草を食べます。水面で暮らすマガモやカルガモとは、体つきや泳ぎ方が少し違います。同じカモでも、暮らしぶりによって姿がわかれています。
カラフルなオシドリ
オシドリは、日本のカモのなかでも、ひときわ色あざやかな種類です。オスは、だいだい色の大きな羽を背中に立て、赤や白や緑をまじえたあざやかな姿です。仲のよい夫婦のたとえに「おしどり夫婦」という言葉が使われるほど、つがいで過ごすようすが親しまれてきました。森の近くの水辺に住み、木の上に巣をつくることもあります。巣立つヒナは、高い木から地面へ飛びおりて、母親のもとへ向かいます。

オスとメスの違い
派手なオスと地味なメス
季節で変わるオスの羽
多くのカモでは、オスが色あざやかで、メスは茶色っぽく地味です。派手なオスは、繁殖の季節にメスの気を引くための姿だと考えられています。いっぽうメスの地味な色は、巣で卵をあたためるときに、まわりにまぎれて身を守る役に立ちます。オスの派手な羽は、一年じゅう続くわけではありません。繁殖の季節が終わると、オスも一時的にメスに似た地味な色になり、その後また美しい羽に変わります。この見た目の違いは、オスとメスを見分ける手がかりです。
水辺の暮らしと体のつくり
すくって食べ、もぐって食べる
くちばしのくし歯
カモの平たいくちばしのふちには、くしの歯のような細かいならびがあります。これで泥水をこして、中の種や小さな生き物だけをより分けて食べます。水面の食べ物をとるときは、頭を水につっこみ、おしりを上に向けて逆立ちすることもあります。いっぽう、深くもぐって水底の餌をとる種類もいて、食べ方はさまざまです。細かいくし歯のならびは、食べるものに合わせて、種類ごとに少しずつ違っています。
水をはじく羽
カモの羽は、水にぬれてもすぐにはじいてしまいます。おしりのつけ根には、脂を出す場所があり、くちばしでこの脂を羽にぬり広げています。羽の一枚一枚が脂でおおわれるため、水がしみこみにくくなるのです。冷たい水の中でも体がぬれず、浮かんでいられるのは、このおかげです。水からあがったカモが体をふるわせて水を落とせるのも、この羽のはたらきです。
生まれてすぐ歩くヒナ
親について泳ぐ
カモのヒナは、卵からかえって間もなく、自分の足で歩き出します。生まれた翌日には巣を離れ、親のあとについて水の中を泳ぎはじめます。ヒナは、はじめに見た動くものを親と思ってついていく性質をもっています。カルガモの親子が、列をつくって道路を渡る光景は、この性質のあらわれです。車を止めて見守るその場面は、初夏の風物詩になっています。

渡りと季節
日本で見られるカモの多くは、冬をこすために北の国から渡ってくる冬鳥です。秋になると群れでやってきて、池や川、海辺で冬を過ごします。そして春になると、繁殖地である北の国へと帰っていきます。渡ってくるカモの数は、その年の寒さによって年ごとに変わります。空を列になって飛ぶ姿は、季節のうつり変わりを告げる、冬の風物詩になっています。

人とのかかわり
カモは、古くから人の暮らしと深くかかわってきました。冬のカモは狩りの対象になり、鴨なべなどの料理として食べられてきました。田んぼにアイガモを放つ合鴨農法のように、農作業を助けてもらう使い方もあります。公園の池で餌をもらうカモは、子どもにとって身近な野鳥のひとつです。近ごろは、飼われていたアヒルやアイガモが野生化し、在来のカモと交ざることも心配されています。
どこで会えるか
身近な池や川、公園の水辺では、とくに冬にカモがよく見られます。都市の真ん中の池にも、いろいろな種類のカモが集まります。カルガモは一年中いるので、春や夏でも会えることが多い種類です。オスの頭の色やくちばしの模様をよく見ると、種類を見分ける手がかりになります。
関連ページ








参考
- Wikipedia「カモ」「マガモ」「アヒル」「Anatidae」
- Encyclopædia Britannica「Duck」
- アヒルの家きん化に関する研究、各地の渡来地資料 ほか


