カニ【総合】

エビ・カニ類(十脚類)

カニは、硬い甲羅と大きなはさみをもち、横歩きをすることで知られる甲殻類の仲間です。世界の海や川、干潟に広く暮らし、その種類は数千にのぼります。ここでは、カニとはどんな生きものかをまとめ、図鑑で紹介している日本のカニをなかまごとに見ていきます。

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分類と学名

カニは、エビやヤドカリと同じ十脚目のなかの、カニ下目(短尾下目 Brachyura)に含まれる甲殻類の総称です。エビのように長い腹をもたず、短い腹を胸の下に折りたたんでいるのが、大きな特徴です。世界には98科・約7,000種が知られ、日本の海・川・干潟にも、さまざまなカニが暮らしています。

分類階層

  • 界:動物界 Animalia
  • 門:節足動物門 Arthropoda
  • 綱:軟甲綱 Malacostraca
  • 目:十脚目 Decapoda
  • 下目:カニ下目(短尾下目) Brachyura

和名・英名

  • 和名:カニ(カニ下目のなかまの総称)
  • 英名:crab(クラブ)

大きさ・分布などの基本データ

大きさ甲羅の幅数mmの小型から、あしを広げると3mを超えるタカアシガニまで
分布世界中の海。日本各地の海・川・干潟
生息環境浅い磯・砂泥底・干潟・川・深海など、幅広い
体のつくり10本のあし(うち一対がはさみ)。硬い頭胸甲
種類世界に約7,000種(うち淡水のカニは約1,300種)
呼吸エラで呼吸する

カニとは — どんな生きものか

カニの仲間には、共通する体のつくりや暮らし方があります。まずは、カニならではの特徴を見ていきます。

磯のカニ
磯の岩の上のカニ。10本のあしのうち、前の一対が大きなはさみになっている

10本のあしと大きなはさみ

カニのあしは、5対10本。そのうち、いちばん前の一対が大きなはさみです。このはさみで、餌をつかんだり、身を守ったりします。残りの8本のあしを使って、海底や岩の上を歩きます。背中は硬い頭胸甲におおわれ、短い腹は胸の下に折りたたまれています。

なぜ横歩きをするのか

カニといえば、横歩きが思いうかびます。これは、あしの関節が横向きに曲がるつくりになっているためです。前後よりも、横に動くほうが速く、効率がよいとされます。ただし、種類によっては前や後ろに歩くものや、ガザミのように泳いで移動するものも知られています。

エラで呼吸し、泡を吹く

カニは、頭胸甲の両側にあるエラで呼吸します。水の中の酸素を、エラで取りこむしくみです。陸に上がったカニが口から泡を吹くのは、このエラのまわりの水に、空気が混じるためといわれます。水分が少なくなると、泡がねばりを帯びて、目立つようになります。

脱皮して大きくなる

カニの硬い甲羅は、そのままでは大きくなれません。そこでカニは、古い殻を脱ぎ捨てる「脱皮」をして成長します。脱皮したばかりのときは、殻が柔らかく、その間に体を大きくします。新しい殻が硬くなるまでは、外敵から狙われやすい時期でもあります。

いろいろなカニ

ひとくちにカニといっても、姿や暮らしはさまざまです。ここでは、図鑑で紹介しているカニを、なかま(科)ごとに見ていきます。

カラッパ科

丸い蓋のような甲羅で、缶切りのようなはさみで貝を割るカニたちです。砂にもぐって暮らします。

カラッパ【総合】
丸い蓋のような甲羅をもつカニ、カラッパの仲間をまとめて紹介します。ヤシの実のような姿、砂に潜る暮らし、缶切りのようなはさみで貝を割る食べ方、トラフ・メガネ・マルソデなど日本の海のカラッパまで図鑑としてまとめます。

ワタリガニ科

いちばん後ろのあしがオール状になり、海を泳ぐカニです。食用として親しまれています。

ガザミ
オール状の後脚で海を泳ぐ大型のカニ、ガザミ(ワタリガニ)。泳ぐ仕組み、菱形の甲羅、オスとメスの見分け、内湾の暮らしと季節移動、旬や内子まで、食用ガニとしての魅力も図鑑としてまとめます。

クモガニのなかま

細長いあしをもつ、クモガニのなかまです。深い海には、あしを広げると3mを超える大型のカニもいます。

タカアシガニ
タカアシガニは脚を広げると3.8mになる世界最大のカニ。深海にすむ「生きた化石」で、くるみ割り器のような鋏、駿河湾の名物、水族館の人気者としての姿まで。
ズワイガニ
松葉ガニ・越前ガニと呼ばれるズワイガニは、ヤドカリに近いタラバガニと違い正真正銘のカニ。脚が10本の理由、オスとメスで名前が変わるわけ、深海での暮らしまで。

ベンケイガニ科

海辺の陸や、川の近くで暮らすカニたちです。潮の満ち引きする場所や、林のなかにも見られます。

アカテガニ
アカテガニは赤いはさみをもつ陸で暮らすカニ。海岸近くの林や石垣にすみ、夏の大潮の満月の夜に海へ下りて幼生を放つ「放仔」や、乾燥に強い体、似た仲間との違いまで。
クロベンケイガニ
クロベンケイガニは河口や湿地の水際にすむカニ。アカテガニの近縁で、紫がかったはさみとがっしりした四角い体、荒い性質、群れる暮らし、夏の放仔、似た仲間との見分けまで。
ベンケイガニ
ベンケイガニはゴツゴツした甲羅と橙色のはさみをもつ陸のカニ。名は甲羅の質感を武蔵坊弁慶になぞらえたもの。アカテガニ・クロベンケイガニとの見分け、夏の放仔、暗く湿った物陰の暮らしまで。

スナガニ科

干潟に住むカニです。オスが大きなはさみを振る「シオマネキ」のなかまが知られています。

シオマネキ
シオマネキはオスの片方のはさみだけが甲羅ほど大きくなる干潟のカニ。潮を招くように見えるウェービング(求愛)、右利き左利き、満潮線の巣穴、絶滅危惧種としての現状まで。

イワガニのなかま

川と海を行き来するモクズガニなど、水辺で暮らすカニのなかまです。はさみに毛が生えるものもいます。

モクズガニ
モクズガニははさみに毛が生えた川のカニ。上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)の仲間で、川で育ち海へ下って繁殖する「降河回遊」の暮らし、秋の味覚、寄生虫の注意まで。

サワガニ科

一生を淡水で過ごす、日本ではめずらしいカニです。きれいな川の上流に住んでいます。

サワガニ
サワガニは日本の川にすむ小さなカニ。海に下りず一生を淡水で過ごす固有種で、稚ガニの姿で生まれること、赤や青の体色、きれいな水の指標、食べるときの寄生虫の注意まで。

ヘイケガニ科

甲羅が人の顔のように見えるカニです。平家物語の伝説で知られ、背中に物を背負う習性があります。

ヘイケガニ
甲羅の凹凸が怒った武者の顔に見える小さなカニ、ヘイケガニ。壇ノ浦に散った平家の伝説、漁師の人為選択説とその反論、背中に貝殻を背負う習性まで、浮世絵もまじえて図鑑としてまとめます。

カニと呼ばれるがカニでないもの

名前に「カニ」とつき、姿もカニに似ているのに、分類の上ではカニ下目ではない生きものがいます。ヤドカリに近い「異尾下目(いびかもく)」の仲間です。

タラバガニはヤドカリの仲間

大型のタラバガニは、名前に「カニ」とつきますが、分類の上ではヤドカリに近い仲間です。あしの数が、本当のカニより少なく見えることで見分けられます。カニに似た姿は、別々のグループがよく似た形に進化した「収斂進化(しゅうれんしんか)」の例とされます。ヤシガニやカニダマシも、同じ異尾下目の仲間です。

タラバガニ
「カニの王様」タラバガニは、実はカニではなくヤドカリに近い仲間。あしが8本に見える理由、ズワイガニとの違い、アブラガニとの見分け方まで。
ヤドカリ【総合】
ヤドカリは貝殻を背負って暮らす甲殻類の仲間。成長に合わせた「宿替え」や殻の奪い合い、殻を捨てて育ったヤシガニ・タラバガニ、イソギンチャクとの共生まで。

人とのかかわり

カニは、昔から人にとって身近な生きものです。食用として親しまれるものも多く、ガザミやズワイガニ・タラバガニなどは、味のよいカニとして知られています。干潟や磯には、観察できる小さなカニもたくさん暮らしています。その代表が、シオマネキやベンケイガニ。海辺や川で見かけたカニがどのなかまなのかを調べてみるのも、図鑑の楽しみ方といえます。

参考

  • カニ/カニ下目 Brachyura(Wikipedia日本語版)分類・形態・生態・種数
  • 市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)各種のカニの生態・分布
  • BISMaL 海洋生物データベース(JAMSTEC)カニ類の分類・分布

画像の出典

  • アイキャッチ(さまざまなカニを並べた合成画像):Biopics Dan Boone ほか複数の撮影者, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
  • 磯のカニ(イワガニ類):Peterwchen, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
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