オオタカは、灰色の体と赤い目をもつ中型のタカで、古くから鷹狩りの主役として親しまれてきました。かつては森の奥で暮らす鳥でしたが、近年は都市の公園でも繁殖し、皇居や明治神宮でもその姿が確認されています。
分類と学名
分類階層
- 界:動物界 Animalia
- 門:脊索動物門 Chordata
- 綱:鳥綱 Aves
- 目:タカ目 Accipitriformes
- 科:タカ科 Accipitridae
- 属:オオタカ属 Astur
- 種:オオタカ Astur gentilis
和名・英名
- 和名:オオタカ(大鷹・蒼鷹)
- 英名:(Eurasian) Goshawk
学名と別名
オオタカは長くハイタカ属(Accipiter)に含められてきましたが、近年の研究をうけてオオタカ属(Astur)に分けられました。以前の学名 Accipiter gentilis で書かれた資料も多く残っています。和名の由来には、灰色の羽が光の加減で青みを帯びて見えることから「蒼鷹(あおたか)」が変化したという説があります。
大きさ・分布などの基本データ
| 大きさ | 全長 約50〜57cm/翼を広げた幅 約100〜130cm(メスが大きい) |
|---|---|
| 体重 | オス 約0.5〜0.9kg/メス 約0.9〜1.3kg |
| 分布 | ユーラシアの温帯に広く分布。日本では九州以北に周年生息 |
| 生息環境 | 平地から山地の森林。近年は都市の緑地でも繁殖 |
| 食べ物 | ハト・ムクドリ・カモなどの鳥類、ネズミ・ウサギなどの小動物 |
| 寿命 | 野生でおよそ10〜15年とされる |
| 保全状況 | IUCN:LC(軽度懸念)/日本:環境省レッドリスト 準絶滅危惧(NT) |

森と都市に暮らすタカ
灰色の体と赤い目
大きさとメスの優位
オオタカは、全長50〜57センチメートルほどの中型のタカです。翼を広げた幅は1メートルを超え、メスがオスよりひとまわり大きくなります。体重ではメスがオスの倍近くになることもあり、タカの仲間に共通する性的二形がよく表れています。成鳥は背中が青みを帯びた灰色で、腹には細かい横しまが並び、目は鮮やかな赤色をしています。
青みを帯びた羽
成鳥の灰色の羽は、光の当たり方によって青っぽく見えることがあります。和名の「蒼鷹」は、この色あいに由来するといわれます。一方、若い個体は全身が褐色をしています。腹には縦のしまが入り、成鳥とはかなり印象が異なります。赤い目になるのも成長してからで、若いうちは黄色い目をしています。
都市に進出したタカ
もとは森の鳥
オオタカはもともと、平地から山地の森林で暮らす鳥でした。木立の間を素早く飛び、獲物を待ち伏せる暮らしに適した体つきをしています。1980年代ごろまでは、人けのある場所にはあまり現れませんでした。
皇居や明治神宮でも繁殖
ところが近年は、都市の緑地でも繁殖するようになりました。東京では、明治神宮や上野恩賜公園、皇居などで巣づくりが確認されています。街なかに増えたドバトなどの獲物が豊富なことが、進出を後押ししたと考えられています。都市の公園で見かける大型のタカが、オオタカであることも増えています。

待ち伏せの狩人
短い翼と長い尾
森を素早く飛ぶ体つき
オオタカの翼は、体のわりに短くて幅が広く、尾は長めです。この体つきは、木々の間をすり抜けながら急に方向を変えるのに向いています。開けた空を高く舞うイヌワシとは対照的に、オオタカは林のなかや縁で、身を隠して獲物を狙います。水平に飛ぶときの速さは時速80キロメートルほどで、獲物へ突っこむときはさらに速くなるとされます。
ハトやムクドリを追う
主な獲物は、ハトやムクドリ、カモといった中小型の鳥です。ネズミやウサギなどの小動物、時にはヘビも捕らえます。一度狙いを定めた獲物は、茂みの中まで執拗に追いかけることで知られています。鋭いかぎ爪で獲物を押さえこみ、その場で仕留めます。
木の上の子育て

巣と卵
オオタカが巣をかけるのは、林のなかの高い木の上です。枝を組んだ大きな巣に、春に3〜4個の卵を産みます。抱いて温めるのは主にメスの役割で、その間はオスが獲物を運びます。ヒナが巣立つのは、およそ1か月半後です。そのあともしばらくは、親のそばで狩りを覚えます。
都市ではカラスの古巣も
都市に進出したオオタカは、カラスが使わなくなった古い巣に手を入れて利用することもあります。巣の近くにカラスが来ると、親鳥は激しく追い払います。天敵の少ない成鳥とは違い、卵やヒナはカラスやテンなどに狙われることがあります。

鷹狩りの主役
千年をこえる付き合い
オオタカは、日本の鷹狩りを代表する鳥です。飼いならしたタカを放って獲物を捕らえる鷹狩りは古くから行われ、はじめはハイタカやハヤブサが使われていました。キジやツルなどの大きな獲物を狙うために、のちにオオタカが重んじられるようになります。江戸時代には将軍や大名の間で盛んになり、鷹を扱う専門の役職も置かれました。現在の日本では野生のオオタカを捕らえることはできず、鷹狩りの技は主に海外からの個体で受け継がれています。
ハイタカとの見分け方
大きさと体つきで見分ける
オオタカは、よく似た猛禽ハイタカと混同されがちです。名前は似ていますが、大きさや体つきに違いがあります。
| オオタカ | 全長50〜57cm(カラス大)。がっしりした体つきで、成鳥は腹に細かい横しま |
|---|---|
| ハイタカ | 全長30〜39cm(ハト〜カラスより小さい)。オオタカを小さくしたような姿 |
| ノスリ | 全長50cm前後。翼が丸みを帯び、腹は白っぽく茶のまだら |
いちばんの手がかりは大きさで、オオタカはカラスほど、ハイタカはそれよりずっと小さく見えます。どちらも腹に横しまが入りますが、がっしりして見えるほうがオオタカです。飛ぶときは、短い翼と長い尾のシルエットが両種に共通します。

会える場所と飼育の可否
都市の公園と、飼育のきまり
オオタカは、東京の井の頭公園や石神井公園など、都市の大きな緑地でも観察されています。木の上にとまる姿や、獲物を追う飛翔が見られることもあります。飼育については、野生の個体を捕らえることは法律で禁じられており、鷹狩り用の個体も許可や登録が必要です。ペットとして気軽に飼える鳥ではありません。動物園や鷹匠の施設でなら、間近でその姿を観察できます。
数を回復したタカ
希少種から準絶滅危惧へ
オオタカは、開発や乱獲で数を減らし、1993年に国内希少野生動植物種に指定されました。その後、保護と都市への適応によって数が回復し、2017年には指定が解除されています。現在は環境省のレッドリストで準絶滅危惧(NT)とされ、絶滅の心配がすぐにある状態ではありません。ただし営巣する森が開発で失われれば、繁殖に影響が出るため、生息地の保全は今も課題です。
※ 準絶滅危惧(NT)とは、いまのところ絶滅の危険は小さいものの、生息の条件しだいで絶滅危惧に移りやすい区分です。
オオタカの豆知識
ハイタカより「チュウヒ」に近い仲間
オオタカは長くハイタカの仲間とされてきましたが、近年の研究では、ハイタカよりもむしろチュウヒなどに近いことが分かってきました。この結果をうけて、オオタカはハイタカ属から新しくオオタカ属へと移されています。名前や見た目が似ていても、たどってきた進化の道すじは大きく異なります。研究が進むにつれ、生き物の分類が書きかえられることは少なくありません。
「鷹の目」と鋭い視力
鋭く見通すことを「鷹の目」といいますが、これはタカの視力の高さに由来する言葉です。オオタカをはじめ猛禽の目は大きく、遠くの小さな獲物も見分けられるとされます。木立の間を高速で飛びながら、枝や葉に隠れた鳥を見つけ出せるのも、この目のおかげです。狩りのときは、まず高い枝や電柱にとまって周囲を見渡し、獲物を定めてから一気に飛び出します。





関連記事



参考
- English Wikipedia「Eurasian goshawk」(分類の変更・形態・狩り・鷹狩り)
- ウィキペディア「オオタカ」(日本の分布・都市進出・保護・和名の由来)
- IUCN Red List「Astur gentilis」(保全状況の評価=軽度懸念)
画像の出典
- アイキャッチ(とまる成鳥):Norbert Kenntner, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
- 若鳥の飛翔:Thermos, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
- 獲物を押さえる個体:김현태, KOGL Type 1, via Wikimedia Commons
- 卵(標本):Roger Culos, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- 鷹狩りの挿絵:Internet Archive Book Images(1920年), via Wikimedia Commons
- 草地の個体:TRinaud, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons


